日本弁護士連合会(日弁連)は3月18日、政府が7日に閣議決定した日本学術会議法案に反対する会長声明を発表した。渕上玲子会長は声明で、同法案が、日本学術会議の「学問の自由(憲法23条)に由来する独立性・自律性が損なわれるおそれが大きい」と強く懸念を示した。
政府の法案は、現在「国の特別の機関」である日本学術会議を廃止し、特殊法人として新設するもの。日弁連は法案の最大の問題点として、現行法で定められた学術会議が職務を「独立して」行うという文言が踏襲されず、「政府を含む外部の介入を許容する新たな仕組みが幾重にも盛り込まれている」点を挙げている。
具体的には、会員選定や活動計画、予算作成などについて意見を述べる各種委員会の設置や、内閣総理大臣が任命する監事の設置など、「学問の自由に対する重大な脅威」となりうるとして制度設計に厳しい目を向けている。
また、会員の選任方法についても、「諸外国の多くのナショナル・アカデミーが採用している標準的な会員選考方式(現会員が会員候補者を推薦する方式)が損なわれるおそれがある」と指摘。特殊法人への移行により「ナショナル・アカデミーとしての安定した財政基盤を維持するための国家財政支出が確保されなくなる」懸念も表明した。
日弁連はさらに、2020年10月に起きた学術会議会員候補者6名の任命拒否問題について「違法性を指摘して速やかな是正を求めてきたが、その問題を放置したまま法人化を進めることも看過できない」と批判している。
声明の最後で日弁連は政府に対し、「あらためて2020年10月の学術会議会員候補者6名の任命拒否を是正してその正常化を図り、相互の信頼関係を構築すること」を求めるとともに、「学術会議の独立性・自律性を損なうおそれが大きい本法案に反対する」と結論づけている。