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正月の鏡餅「神社で処分できません」 神主が「お焚き上げ」に注意喚起…背景に"カビが生えやすい"住宅事情も
鏡餅(提供:今泉八坂神社)

正月の鏡餅「神社で処分できません」 神主が「お焚き上げ」に注意喚起…背景に"カビが生えやすい"住宅事情も

正月の鏡餅が「お焚き上げ」に持ち込まれているとして、栃木県宇都宮市にある神社の神主が「鏡餅は家庭で処理して」と呼びかけている。それでもこの年末年始には、神社に鏡餅が持ち込まれてきたという。

神主は「お気持ちの問題でもあり、背景には住宅事情の変化もある」と話す。(弁護士ドットコムニュース・塚田賢慎)

●「自分で捨てるにはしのびない」注意しても持ち込まれる鏡餅

宇都宮市の今泉八坂神社ではこれまで、お札やお守りなどを焼いて供養する行事「お焚き上げ」の受け入れ可否について、Xや境内の掲示で注意喚起してきた。

神主は取材に「お焚き上げの対象は、神様の御魂(みたま)が入ったお札などになります」と説明する。燃やせないもの、ゴミとして処分できないものも引き取れない。

たとえば、お札やお守り、絵馬、しめ飾りなどは「納められるもの」で、仏具や人形の他、もち・もちパックなどの食品は「納められないもの」にあたる。

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Xでもこのように投稿している。

「食べられる状態の鏡餅はお焚上げに出さずに召し上がって下さい。カビてしまった餅は謝って可燃ゴミに出して下さい」

1月14日にお焚き上げ行事を済ませたが、神主は「それでもやはり、今年も1日に3〜4件は鏡餅の持ち込みがありました」と振り返る。

ゴミ焼却によるダイオキシンの発生などが過去に問題とされてから、さらに仕分けに厳しくなり、「鏡餅」の持ち込みは減ったとはいえ、それでもどうしてもなくならないという。

●暖冬、高気密高断熱の住宅→餅にカビ…「気持ちはわかるが」

神主が弁護士ドットコムニュースの取材に応じた。

「最近では真空パックに入った鏡餅を購入されるかたも増えましたが、ここの地域ではまだ農家さんが自分でお餅を作ったり、お菓子屋さんが作る鏡餅を神棚にお供えすることも少なくありません。

昔より暖かくなり、さらに今年は暖冬ですし、1月11日に鏡開きしようとしても、真空パックに入っていないお餅はカビてしまう確率が高い。さらに昔と違って家も高気密・高断熱になりましたから、さらにカビやすい環境ができているのです」

温暖化と建物の進歩もあり、「カビて食べられない」。

しかし、人の気持ちは昔と変わらないので「神様にお供えしたものだから、食べられないなら神社でお焚き上げしよう」として持ってくる。

「そのお気持ちもよくわかります。ただ、うちだけではなく、全国的にも神社では鏡餅を預からない方向かと思います」

真空パックの餅を食べて、外の「鏡餅」をかたどった「プラスチックの容器」だけ持ち込む人もいるという。 「鏡餅だけでなく、書籍や故人のアルバム、お人形などもお焚き上げをお願いされますが、お断りしています。単に捨てていかれる人もいます」

●餅メーカーも注意喚起「お焚き上げに持っていくと神社仏閣の迷惑に」

メーカーの公式サイトにも、鏡餅の処分についての注意が掲載されている。

「鏡餅容器や水引、三方等のお飾りは左義長(さぎちょう)やとんど焼き、お焚き上げ等に持っていきますと神社仏閣様のご迷惑となる恐れがありますので、ご自宅での処分をお願いします。

ごみの分別区分は自治体ごとに異なりますので、自治体ごとの分別方法に従って処分をしてください。

中身のお餅は年神様にお供えしたお餅ですので、一年の無病息災を祈って美味しくお召し上がりください」(越後製菓の公式サイトから)

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