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「衣食住がおびやかされる日本の若者、途上国に近い」NPOに食糧求める声続々と
子どもの食の貧困について話す今井代表(2023年10月24日、弁護士ドットコム撮影)

「衣食住がおびやかされる日本の若者、途上国に近い」NPOに食糧求める声続々と

オンラインチャットで13〜25歳の相談を受け付けるなど支援活動をおこなっている認定NPO法人「D×P」が、物価高の影響で食糧支援を求める若者が増加していると訴えている。

今井紀明代表が10月24日、東京・霞が関の厚労省記者クラブで会見。若者が孤立しやすい年末年始に向けて、緊急支援の拡大と相談体制の強化が必要だとし、クラウドファンディングの寄付を呼びかけた。

今井代表は「相談の現場では『食べることもできず、ずっと天井を見つめていた』という声も聞いた。ここが日本なのかと思うほどの状況で、需要が高まっていることを知ってほしい」と話した。

●食糧支援、2023年度は増加ペース

D×Pは2020年4月から、オンライン相談の「ユキサキチャット」を通じて困窮する子どもたちに30食分のごはんを届ける活動をしており、これまで延べ16万食超を発送してきた。2023年度は8月末時点で昨年比1.8倍のペースで増加、単年度で9万食を超える見込みだという。

また、約2年間で同団体にサポートを希望した1242人にアンケートしたところ、約半数の574人(46.2%)が「1週間でごはんを食べない日がある」と回答。このうち「週3〜4日食べない」は56人、「ほとんど食べていない」も18人いた。ひとり親家庭など親に頼りづらい背景が共通しているといい「体重が減って体調がすぐれない」という高校生の声を紹介した。

●空調入れない、生理用品そのまま…

同団体に寄せられる相談の声からは食だけでなく、生活全般に困窮している姿が見える。

「電気代の節約のため空調を入れていません」
「生理用品はなるべくギリギリまで交換を控えてる」
「生活費に回したいから服は2着しかない。惨めだなって思う」

イラクの子どもの支援をしていた高校生の時、人質になり帰国後にバッシングを受けた今井代表。その後、中退や不登校などを経験した10代に出会い、2012年にD×Pを設立した。大阪・ミナミのグリコ看板下(通称グリ下)に集まる子どもたちのために、2023年6月にはユースセンターを開設するなど、他のNPOや行政と連携し、活動している。

「衣食住がおびやかされているという意味では、途上国に近いと感じます。若者の困窮について、日本のセーフティーネットは脆弱です。オンライン相談は少なく、私たちがInstagramやLINEなどに広告を出すと一気にリーチします。いち民間団体の調査ですが、子どもの孤立を知ってもらい、国の施策などにつなげて解決していきたい」(今井代表)

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