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「女性であるという理由で減点、許せない」聖マリアンナ医科大、元受験生4人が提訴
会見を開いた弁護団(2020年10月14日、東京・霞が関の司法記者クラブ、弁護士ドットコム撮影)

「女性であるという理由で減点、許せない」聖マリアンナ医科大、元受験生4人が提訴

女性であることを理由に入試で不利に扱ったのは不当だとして、聖マリアンナ医科大(川崎市)を過去に受験した20代女性4人が10月14日、同大を相手取り、慰謝料など計約1684万円を求め、東京地裁に提訴した。

大学の医学部入試における女性差別問題では、東京医科大、順天堂大に続く3件目の訴訟提起となる。

聖マリ医大の医学部入試をめぐっては、1月に第三者委員会が、2015〜18年度の一般入試について、「元入試委員長ら4人による、性別・現浪区分という属性による一律の差別的取扱いが行われたものと認めざるを得ない」と結論づけている

提訴後、都内で弁護団が会見を開き、原告らのコメントを代読した。ある女性は「女性であるという理由で減点されるのはとても許せません。聖マリアンナ医科大の不正な行いは、努力と期待を踏みにじる行為です。憤りを覚えずにはいられません」と謝罪を求めた。

●「性別というコントロールできない要素によって差別された」

訴状などによると、原告は、2015〜18年度に1回または複数回にわたり、聖マリ大医学部を受験した4人の20代女性。他の大学の医学部に進学したり、別の学部を選んだりしている。

請求額の内訳は、不公正、不公平な入学試験を受験させられたことに対する入試1年度あたりの慰謝料300万円(1人あたり)や受験料、受験に際して支出した交通費や宿泊費など。

原告側は「性別というコントロールできない要素によって差別され、入学試験は公正、公平に実施されているという信頼を裏切られた」と主張。

聖マリ医大が不合理な弁解を繰り返して、2次試験の点数開示や再判定もおこなわず、社会的道義的責任を免れて来たことは「不誠実極まりない」として、東京医科大や順天堂大を相手取った別の訴訟よりも慰謝料を100万円増額して請求している。

●差別的な扱い、大学側は今も認めず

第三者委員会の調査によると、2015~18年度入試の入学試験結果の点数分析を実施した結果、志願票および調査票について、男性と女性の間に毎年特定の点数差が生じていた。

さらに、入試管理システムのエクセルファイルには「男性調整点」との記載枠があり、そこに書かれた点数差が点数分析と一致していた。

しかし、大学側は男女の間における点数差が生じたことについて、「評価担当者らの『将来良き臨床医』となるために必要な資質についての評価の方向性が類似していた」としており、現在も差別的な扱いがあったと認めていない

弁護団の佐藤倫子弁護士は「聖マリ医大はとてもひどい女性差別をしてきたが、長期間否定し、風化させ、逃げようとしているように見える。文部科学省も再三にわたり社会や受験生に対して説明責任を尽くすよう求めている。しかし、認めない応じない対応しない。不誠実な対応で、許されない」と指摘。

弁護団長の角田由紀子弁護士は「人を差別することは、医師という職業において最もあってはならないこと。聖マリ医大は文科省が何を言おうと知らん顔をして、逃げ切ってしまおうと甘く考えているのではないか。司法の場ではっきりと実態を明らかにしたい」と話した。

●聖マリ医大「コメントできない」

聖マリ医大の広報担当者は取材に対し、「訴状が届いていないため、コメントできない」と話した。

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