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養育費や家賃のトラブル、スマホからオンライン解決へ 法務省が9月から実証事業
「ONE」のイメージ(日弁連提供)

養育費や家賃のトラブル、スマホからオンライン解決へ 法務省が9月から実証事業

法務省は今年9月から、養育費の未払いや家賃トラブルなどの身近な金銭問題をオンラインで弁護士に相談したり、解決に向けて調停の手続きがとれる実証事業「ONE」をスタートさせる。

「ONE」はスマホやパソコンで対応できるため、、裁判所や法律相談に行く移動時間が必要なくなり、平日の昼間に働いている人も利用しやすくなると期待されている。

日弁連が委託を受けた実証事業で、日弁連の担当者は「司法アクセスが困難だった方々に利用していただければ」と話している。

●働いているシングルマザーでも利用しやすく

この事業は、裁判ではなく話し合いで解決する「裁判外紛争解決手続き」(ADR)をオンライン化したもので、初めての試みだという。

日弁連は8月2日、東京・霞が関で開いた定例会見で、「ONE」について説明した。想定している利用者は、家賃、業務委託費の未払いといった身近な金銭トラブルを抱えている人だという。

大きな流れとしては、トラブルが発生した際に「ONE」のサイト( https://one-odr.jp/ )にアクセスし、簡単な事前質問に回答する。その後、弁護士にチャットで法律相談する。それでも解決しなければ、相手方をまじえてオンライン調停をおこない、合意書をつくる。

ただし、この合意書には執行力(強制的に執行できる効力)などはないという。

画像タイトル 日弁連提供

日弁連によると、養育費の未払いは特に深刻で、養育費の取り決めをしていない母子世帯の割合が5割を超えており、実際に受給できている世帯は3割に満たないという実態がある。

養育費の未払いの問題が放置されてきた理由について、日弁連ADRセンターの河井聡委員長は会見で次のように述べた。

「母子世帯の方が養育費の取り決めをしていない理由として、『相手と関わりたくない』『相手に支払う意志がないと思った』が挙げられます。

また、働いているお母さんにとって、裁判所や法律相談に行く時間を平日昼間にとることは現実的に難しいです。

しかし、『ONE』であれば、スマホで完結することができます。場所や時間を選ばずに対応できるので、司法アクセスが困難だった方々に利用してほしいという思いで進めています」

「ONE」は今年9月1日から12月8日まで相談を受け付けるが、想定件数を超えた場合は早期に終了する場合がある。実証事業期間は来年2月末まで。

日弁連提供

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