クレジットカード、飛行機のマイレージ、量販店のポイントカード――。今や買い物とポイントは切っても切り離せない関係だ。
だが、ポイントをもらってもいいのか悩んでしまうシーンもある。たとえば、会社の経費を仮払いした時のポイントだ。会社員は、社用の接待の費用をいったん、自分のクレジットカードで払っておくこともままある。そんな時、たまったポイントは勝手に使っていいのだろうか。
そもそも現金で支払えばつかなかったポイントだし、自分が個人的に契約しているカード会社のサービスだから、勤務先とは無関係という見方も成り立ちそうだ。だが、それで罪に問われたり、懲戒されたら大変だ。はたして法律的にはどう考えるのが正しいのだろうか。企業法務にくわしい上田孝治弁護士に聞いた。
●会社のルールがあるか、確認しよう
「飛行機のマイレージを例に考えてみましょう。たとえば、出張時の飛行機で、個人のマイレージカードを使った場合、ポイントが付与されるのはあくまでも個人です。航空運賃の実質的な負担者が会社であったとしても、そのポイントが当然に会社に帰属することにはなりません。
したがって、仕事で貯まったポイントを私的に利用したとしても、当然に罪に問われたり、懲戒処分を受けるということにはならないと思われます」
――では、堂々と使えば良い?
「ただ、会社にルールがある場合は話が別です。航空運賃を実質的に負担するのが会社である以上、会社側が一定の、合理的なルールを定めることは可能です。
たとえば、仕事で貯まったマイレージなどのポイントの利用の仕方について、出張旅費規程等で『出張で取得したマイレージは次回以降の出張で利用するものとする』といったルールを決めるのは合理的といえます。
会社にこのような規程がある場合、それに違反すれば、会社から懲戒処分を受ける可能性があります」
――そういう規程は一般的?
「実のところ、会社がこのようなルールを導入するのは簡単ではありません。個人名義のカードのポイントについて、仕事で貯めたポイントとプライベートで貯めたポイントとを区別し、適切に管理するのは難しいからです。
そこで実際には、特に規程を定めず、ポイントの利用について個人に任せている会社が多いものと思われます」
なるほど、言われてみれば、管理費用に見合うほどのポイントが貯まるケースというのは、そこまで多くはないかも知れない。だが確認不足で、たかがポイントのために懲戒処分を受けるのはごめんだろう。貯まったポイントの使い道に思いを馳せるまえに、念のため、会社の規程をよく確認する必要がありそうだ。