ペットの猫を「社員」に登用ーーエサ代は「経費」として計上できるのか?
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ペットの猫を「社員」に登用ーーエサ代は「経費」として計上できるのか?

秋田市に拠点を置く秋田ケーブルテレビが10月中旬、社員登用した秋田犬「し〜な だいすけ」と「し〜な さくら」の2頭をお披露目した。報道によれば、2頭は原則として週5日出勤し、イベントや動画番組に出演するなどして、同社と秋田県の魅力を発信していくそうだ。

このニュースを見て、東京都在住のフリーライターの女性(41)は「うちの猫も、『社員猫』にできないか」と考え始めたという。

編集者などとの打ち合わせは、いつも自宅兼事務所で、そこには愛猫がいる。「猫がいると、初対面の人とも会話が弾みますし、電話ですむ用件でも『猫に会いたいから』と来てくれる編集者もいて、いい和ませ役として活躍してくれているんです」

猫の評判が広まり、ペット企画が舞い込んでくることもある。そこで女性は「うちの猫は、ただのペットではなく、仕事をしている『社員猫』だと思うんです」と語る。女性は個人事業主だ。そこで、次の確定申告では、「社員猫」のエサ代やトイレシート代などを、経費として計上することを検討しているのだという。

犬や猫を「社員」に登用した場合、そのための支出は経費として認められるのだろうか。フリーライターの女性の願いはかなうのか。福島隆弁護士に話を聞いた。

●社員犬のための費用は「宣伝広告費」として経費計上できる

「秋田ケーブルテレビが『社員犬』に登用したのは、企業のイメージを不特定多数の人に知らせるという意味があったのだとすれば、『宣伝広告費』として経費計上ができる支出である、と考えられます。

過去には、ソフトバンクの白い犬『お父さん』が高い広告効果をもたらしたこともありました。

また、秋田ケーブルテレビは、これらの秋田犬に『家賃と食事代を給料として支給する』としていますが、犬は週5日『出勤』しています。つまり、飼い主は、別にいるのでしょう。この場合、同社が『社員犬』の飼い主に対して支払う犬のレンタル料や管理費用を、『宣伝広告費』として経費計上できると考えられます」

では、フリーライターの「社員猫」は、どうだろうか。

「まず、あることにかかった費用が、経費として認められるためには、事業活動との『直接の関連性』が必要です。これは、所得税法37条1項の解釈として一般的な考え方です。

また、経費といえるためには、『家事排除の原則』というものがあります。事業主の通常の生活のための支出は『経費』と認められないのです。

この方は、自宅兼事務所で猫を飼っていますね。『社員猫』として経費計上するためには、『不特定多数の人に働きかける広告効果がある』『猫の飼育がフリーターの日常生活と区別できる』という2点をクリアする必要があるでしょう。

残念ながら、女性の猫は、秋田ケーブルテレビの秋田犬や、ソフトバンクの『お父さん』のように、不特定多数の人に向けて広告しているとは言いにくいですね。

『ペット企画が舞い込んでくる』といった現象も、猫を飼っていることとの関係が副次的、間接的ともいえます。ですから、確定申告で経費計上しても、自分が飼っている猫のための支出だと判断される可能性が高いでしょう」

福島弁護士はこのように話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

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