不適切な会計処理について、第三者委員会から「組織的関与があった」「利益の水増しがあった」という報告を受けた東芝は7月21日、東京都内で記者会見を開いた。田中久雄社長と佐々木則夫副会長、西田厚聡相談役の歴代3社長が同日付で辞任することを発表した。
外部の専門家による第三者委員会が7月20日に会社側に提出した報告書によると、歴代社長は「チャレンジ」と呼ばれる過大な業績改善を各事業部門に強く迫っており、そのプレッシャーが不適切な会計処理を生んだ原因の一つだったという。
毎日新聞は21日に「東芝を組織ぐるみで不正に走らせた魔の言葉『チャレンジ』」というタイトルの記事を掲載して、「チャレンジ」という言葉をクローズアップした。この日の会見では、NHKの記者から田中社長に対して、「チャレンジという言葉をどんな主旨・文脈で使ったのか?」という質問があった。
田中社長は「私は『チャレンジ』という言葉を一切使っていない」「必達目標値という言葉を使っていた」と答えた。たしかに報告書は、田中社長時代について「『チャレンジ』としての指示がされないこともあったようである」と記している。
だが、報告書は「チャレンジに代わって、『ありとあらゆる手段を使って黒字化するように』等の指示が出されていたのであり、実質的にチャレンジと異なるものではないものと評価される」と指摘している。