今年もあと1カ月を切り、来年のカレンダーを購入しようとしている人も多いだろう。カレンダーといえば、スポーツコメンテーターの松岡修造さんの「まいにち、修造!」(PHP研究所)という日めくりカレンダーが昨年発売されて、100万部以上売り上げた。
「まいにち、修造!」の大ヒットを受けて、カレンダー業界では、芸能人の「日めくりカレンダー」ブームが起きているようだ。漫画家の蛭子能収さんも「生きるのが楽になる まいにち蛭子さん」(パルコ出版)を発売した。
蛭子さんのカレンダーのコンセプトやタイトルは、松岡さんのものとよく似ている。蛭子さん自身も12月初めの出版記念サイン会で「たぶんパクリでしょう」と発言をして、会場を笑わせたと報じられた。
もし「パクリ」だった場合、こうした「日めくりカレンダー」という形式についても、著作権や特許などの法的な問題は発生するのだろうか。知的財産権にくわしい齋藤理央弁護士に聞いた。
●「形式」も「アイデア」も保護されない
「日めくりという『形式』も、芸能人の個性を日めくりカレンダーに反映させるという『アイデア』も、著作権法では保護されません。あくまで著作権法で保護されるのは、アイデアや形式を具体化した個々の表現の部分です。
今回のケースでは、個々のページに創作性があれば、個々のページがそれぞれ著作物として保護されますし、個々のページを構成している文章や写真も、それぞれ別個に著作権で保護される可能性があります」
では、特許についてはどうか。特許権は著作権と異なり、「アイデア」を保護するためのものだと聞いているが・・・
「日めくりカレンダーについては、特許権の権利申請も難しいと思います。特許権を付与される発明というには、自然法則を利用していることが一つの条件になるのですが、日めくりカレンダーが自然法則を利用していないことは明らかです」
それ以外の権利はどうだろう?
「具体的な商品のデザイン、レイアウトを意匠登録出願することは考えられます。意匠(デザイン)に関しては、カレンダーは独自に分類番号(F2-410)を付与されているなど、登録が可能です。ただし、意匠登録は原則として、発売前にしておかなければなりません。
次に商品名について考えてみましょう。カレンダーの商品名『まいにち、修造』は、カレンダー等、特定の商品やサービスとひも付けることで、商標登録することが可能です。
さらに、『まいにち、修造』をそのまま使うとか、紛らわしい商品名をつけてカレンダーを販売する者に対しては、商標登録をしていなくても、不正競争防止法に基づいて損害賠償などを請求できる場合があります」
齋藤弁護士はこのように話していた。