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寺社への参拝記念「千社札」に迷惑の声も 「禁止」の明示がなければ貼って良いの?
写真はイメージです(michey / PIXTA)

寺社への参拝記念「千社札」に迷惑の声も 「禁止」の明示がなければ貼って良いの?

神社仏閣を参拝した記念に貼る「千社札」を知っていますか。自分の名前などを書いた紙のお札のことです。愛好家によると、寺社を注意深く眺めてみれば、有名人の千社札が見つかることもあるそうです。

「御朱印帳って流行っているでしょう。あれは持って帰るだけだけど、千社札は自分の『足跡』を残せるのがいいんだよね」

そう語るのは、東京都北区の男性(60代)。ネットで業者を探し、自分の名前の千社札を作ってもらったそうです。実際、検索すると、この手の業者が複数ヒットします。自慢のお札は、馴染みの居酒屋のキープボトルの目印としても使われていました。

男性はここ数年、妻とともに寺社をめぐって、千社札を貼って回っているそうです。「自撮り棒」のような折りたたみ式の棒を使って、建物の梁などに貼るのだとか。見せてもらった写真には、自身のもののほか、有名落語家や横綱の名前もありました。

しかし、中には千社札を迷惑だとして、禁止している寺社もあるそうです。千社札を勝手に貼る行為は、どのように捉えられるのか。星野宏明弁護士に聞きました。

●事前の確認はしっかり…粘着度が高いと建物を傷つける場合も

ーー一般論として、無許可でお札やシールを貼る場合、どんな問題になる?

器物損壊罪のほか、建造物と一体となっている部分への無断貼り付けは、建造物損壊罪として5年以下の懲役となる可能性もあります。

特に、貼り付け禁止が明示されている場所に無断だったり、除去困難な形で貼り付ける場合、器物損壊や建造物損壊の罪に問われる可能性は強まります。

ーー千社札を寺社に貼る場合、禁止が明示されていたらどうなる?

除去困難な方法で貼り付ける場合、器物損壊や建造物損壊の罪に問われるおそれがあります。重要文化財などの場合、文化財保護法違反となることもあります。

ただし、建物や貼り付け場所を傷つけることなく容易に除去できる場合は、器物や建物の損壊とまではいえないため、犯罪にはならない可能性もあります。

ーーでは、禁止を明示していなければ、貼っても大丈夫?

当該場所での貼り付けが管理権者から許容されている場合は、許可があるものとして、貼り付けも犯罪とはなりません。

ただし、管理権者の許可があるかどうかは、不明確な場合もあるので、禁止か許可か明示がない場合は、よく確認してから貼り付けを行うようにした方がよいでしょう。許可がなければ、すでに説明した器物損壊などに問われる可能性があります。

寺務所・社務所などに事前に確認しておきましょう。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

星野 宏明
星野 宏明(ほしの ひろあき)弁護士 星野・長塚・木川法律事務所
中国法務、海外案件、外国人事件、不動産明渡、滞納家賃債権回収、お寺・墓地、太陽光自然エネルギー、農業分野等が専門。他の法律事務所が扱わないニッチな特殊分野に注力。通訳なしの中国語対応可能。

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