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2018年09月25日 09時44分

賭博罪、アイスやジュース賭けるのも「アウト」の可能性…線引きはどうなってるの?

賭博罪、アイスやジュース賭けるのも「アウト」の可能性…線引きはどうなってるの?
100円を賭けてもダメ(makaron*/PIXTA)

大阪桐蔭高校の男子ゴルフ部の部員たちの間で、2017年7月から2018年3月にかけて、「賭けゴルフ」が横行した。

大阪府私学課によると、当時の男子ゴルフ部の部員8人全員が、練習中に100〜200円ずつを賭けて、プレーしていた。当初は、アイスクリームやジュースを賭けていたが、だんだん現金を賭けるようになっていったという。

このほかにも、複数の上級生が、1人の下級生に対して、くりかえし暴力をふるっていたことも判明している。大阪桐蔭高校は今年3月、ゴルフ部を12日間の活動停止処分としたうえで、6月に入ってから、大阪府私学課に報告したという。

今回のような「賭けゴルフ」は罪に問われないのだろうか。刑事事件にくわしい坂口靖弁護士に聞いた。

●数百円でも「賭博罪」が成立する

――どういう場合に「賭博罪」が成立するのでしょうか?

「賭博罪が成立するには、『財物』を賭けることが、要件となります。

すこし難しいですが、ここでいう『財物』とは、『有体物または管理可能物に限らず広く財産上の利益であれば足り、債権等を含む』とされています。

ただし、『一時の娯楽に供する物』と評価できるような物を賭けているに過ぎない場合には、賭博罪は成立しません」

――100〜200円も「賭博罪」にあたるのでしょうか?

「この点、判例では、金銭を賭ける場合においては、その金銭の多少にかかわらず、『一時の娯楽に供する物』ではないと考えているようです。したがって、賭ける物が数百円であっても賭博罪に該当してしまいます。

ただし、形式的には、賭博罪に該当してしまいますが、実際に数百円をかけたという単発の賭博で立件されるという可能性は限りなく低いものと考えられます。実際に刑罰や少年における保護処分を受けるということは考えにくいところです。

なお、単発ではなく、常習的に繰り返して数百円を賭けていたということとなれば、賭博罪として、実際に処罰や保護処分を受けることになってしまうことは、十分にありうるでしょう」

●アイスやジュースを賭けても「賭博罪」が成立しないケースも

――アイスやジュースは「一時の娯楽に供する物」にあたらないのでしょうか?

「『一時の娯楽に供する物』は、判例で『関係者が即時娯楽のために費消するような寡少のもの』という判断が示されています。また、この判断基準としては、(1)社会的地位、(2)職業、(3)賭博行為の回数、(4)賭けた財物の種類、(5)数量、(6)価格――などから判断するものと考えられています。

一般的に、ゴルフを1ラウンド回った結果で、アイス1つやジュース1本を賭けているに過ぎないような場合には、 『一時の娯楽に供する物』に該当するものと考えられます。したがって、賭博罪は成立しないと考えられます。

しかし、未成年者である高校生が、部活中、反復継続してアイスやジュースを賭け、1打につきアイスやジュースを賭けるなど、アイスやジュース等が一定の数量になり、当日中に消費できないような数量になるような場合、アイスやジュースでも、『一時の娯楽に供する物』と評価できず、賭博罪が成立するという可能性も否定できないものと考えられます」

●しかたなく参加していた生徒の責任

――部活内の人間関係で、賭けゴルフに参加しないといけない雰囲気になる場合もあると思います。そういう場合でもだめでしょうか?

「このような場合であっても、金銭を賭けたのならば、原則として賭博罪は成立してしまいます。

ただ、情状として、一定の評価は受けるものと考えられます。主導的に賭博に関与していた場合と比べ、より一層、実際に処罰や保護処分を受けるという可能性は低くなるものと考えられます。

なお、高校生の場合、賭博罪に関与してしまったとしても、未成年者であるため、原則的に刑事処罰を受ける可能性はありません。未成年者の場合、家庭裁判所にて、保護処分が課せられるか否かが決定します。

今回のような事件であれば、賭けた金額の総額や回数、期間などにもよってくるとは思いますが、最も厳重な処分としても保護観察処分となることが予想されます。トータルの金額が僅少だったり、賭博の回数や期間が短いような場合には、不処分となることもありうるところです。

また、部活内での人間関係から参加しないといけない雰囲気から、しかたなく賭博に関与していた生徒は、より一層、不処分となる可能性が高くなると予想されます」

(弁護士ドットコムニュース)

坂口 靖弁護士
大学を卒業後、東京FM「やまだひさしのラジアンリミテッド」等のラジオ番組制作業務に従事。その後、28歳の時に突如弁護士を志し、全くの初学者から3年の期間を経て旧司法試験に合格。弁護士となった後、1年目から年間100件を超える刑事事件の弁護を担当。以後弁護士としての数多くの刑事事件に携わり、現在に至る。
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