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出会い系アプリで「美人局」被害…もし引っかかったら、どう対応したらいい?
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出会い系アプリで「美人局」被害…もし引っかかったら、どう対応したらいい?

出会い系アプリなどを通じて、男性を誘い出して、「オレの女に手を出したな!」「人の嫁に何したんだ!」などと因縁をつけて、現金を脅し取る「美人局(つつもたせ)」が最近目立っている。

今年4月下旬には、スマホの「出会い系アプリ」を利用した男性会社員から現金を脅し取ったとして、住所不定・無職の20代男性と10代無職少女ら計5人が、恐喝の疑いなどで大阪府警に逮捕された。出会い系アプリやサイトが利用された同様の被害は、これまでも報じられている。

美人局に引っかかってしまう人のほうにも、少なからず「やましい」気持ちがあるのかもしれない。典型的な美人局とはどんなケースだろうか。もし引っかかった場合、どのようなことに注意すべきだろうか。呉裕麻弁護士に聞いた。

●美人局は「恐喝罪」に該当する

「いわゆる美人局について、登場人物をA男(男性)、B子(女性)、C男(男性)の3人として、簡単に説明します。

まず、A男とB子の2人が示し合わせて、B子がC男と性的関係を持つかのように装います。そのことに対して、A男が、C男に言いがかりをつけて、金銭を脅し取る恐喝するというものです。

典型的には、B子が、自分にA男というパートナーなどがいることをC男に明らかにせずに接触して、いざ性的関係を持つか、その間際にA男が突然現れて、C男に対して『俺の女に手を出しやがった』『責任をとれ』『半殺しにする』などと脅して、金銭を求めるというパターンです」

美人局は、どんな法律に触れるのだろうか。

「美人局に遭った被害者は『自分がやましい気持ちを持ったがために、こんな目に遭った。被害を申告して明るみになるのは恥ずかしい』と考え、警察への相談などが敬遠されがちです。

このような美人局は、当初からA男とB子が結託して、C男から金を巻き上げることを予定しており、刑法上の恐喝罪に該当します。民事上も、不法行為が成立します。そのため、C男は、仮に金銭を脅し取られても、警察への被害届の提出や、損害賠償を請求することができます」

●美人局にあったらどうしたらいいのか?

では、女性と落ち合っている状況で、突然、男性が現れて脅しをかけられた場合、どう対処すべきだろうか。

「まずは、その場から逃げることを考えましょう。それから、警察への通報を試みてください。いずれも状況的にむずかしい場合には、少なくとも後日の責任追及のため、相手側の個人を特定できる情報を可能な限り確保しておくようにしてください。

同時に、相手からの恐喝内容を証拠化することも重要です。会話の内容を録音したり、写真を撮ったり、相手方の名前などを確認しておくといったことが重要です。

人間は、基本的に性的欲求を持っています。美人局は、このような人が自然に持っている性的欲求につけこんで犯罪行為に及んでいるのです。そのため、仮に被害に遭ったとしても、適切な行動をとることが重要です」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

呉 裕麻
呉 裕麻(おー ゆうま)弁護士 弁護士法人岡山中庄架け橋法律事務所
1979年東京生まれ。韓国籍。2006年に司法試験合格。岡山合同法律事務所に所属後、2013年に現事務所開設。人権問題、交通事故、男女トラブル、インターネット問題、企業法務等、幅広く活動中。

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