「バーリバリ」——。大声でバイクの爆音を真似ながら騒ぎ回る「徒歩暴走族」。さまざまな夏のイベントを前にして、各地の警察が対策に神経をとがらせている。
各社報道によると、姫路市では市職員や警察署員ら約100人が参加して、徒歩暴走族の取り締まり訓練を行った。訓練の内容は、紫色の服を着た徒歩暴走族役が「バーリバリ」と、バイクのエンジンをふかす擬音で周囲を威嚇すると、市職員が立ち去るように命令。それでも騒ぐ"徒歩暴走族"を、警察官が"現行犯逮捕"するというものだった。
今回の訓練は「姫路市民等の安全と安心を推進する条例」に基づいている。この条例は、多くの人が公共の場に集まった際に、いわゆる特攻服を着て威勢を示しながら通行することを禁じているほか、2人以上で大声を発して周囲を不安がらせることなどに対して、市が中止命令を出せるとしている。
はたして、「徒歩暴走族」はどんな罪に問われるのか? こんな条例は他の地域にもあるのだろうか? サークルのコンパのあとに集団で大声を上げている大学生たちも逮捕されてしまうことはないのだろうか? 中塚恵介弁護士に聞いた。
●「徒歩暴走族」が中止命令にしたがわなければ、5万円以下の罰金
「姫路市の条例によると、『徒歩暴走族』が中止命令を受けても解散しないなどの違反行為があった場合には、5万円以下の罰金という刑事罰が科せられます」
と中塚弁護士は解説する。この条例、とてもユニークに見えるが、姫路市だけのオリジナルなのだろうか。それとも、他の地域にもあるのだろうか?
「広島市にも『広島市暴走族追放条例』があります。姫路市の条例と同様に、公共の場所において暴走族風のいわゆる特攻服を着て集会を開くこと等を禁じていますが、広島市の条例の罰則は、姫路市よりも重く、6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金となっています」
この手の規制は、姫路市だけのものではないようだ。今後「徒歩暴走族」に悩まされる多くの自治体に広がっていくかもしれない。あと気になるのは、暴走族以外の一般人にも適用されて、逮捕されてしまうことはないかという点だ。ありがちなのは飲み会のあとに大騒ぎになってしまうケースだ。
「姫路市の条例では、暴走族の名称を示すように刺しゅうをほどこされた服を着用して、威勢を示すように通行する場合、すなわち大勢で練り歩くような場合か、そのような服を着て2人以上が大声を発するなどの行動をとることが必要です。ともに周囲に不安を覚えさせることも要件です。したがって、単に大声で騒いでいるだけでは、この条例にもとづいて逮捕されるわけではありません」
暴走族の服装で騒ぐなどして周囲に不安を与えるような行動をした場合に、この条例が適用される可能性があるということで、ただ騒いでいるだけで逮捕されるわけではないとのこと。
それは一安心だが、酔っ払っての騒ぎすぎは立派な近所迷惑。場所や時間には十分気をつけよう。