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酔わせた女性を性的暴行した男性が「準強姦罪」で逮捕ーー「強姦罪」でないのはなぜ?
東京・新宿の繁華街

酔わせた女性を性的暴行した男性が「準強姦罪」で逮捕ーー「強姦罪」でないのはなぜ?

21歳の女性を酒に酔わせて自宅に連れ込み、性的暴行をする様子を撮影したとして、東京都内の自営業男性(37)が11月上旬、「準強姦」容疑で逮捕された。

報道によると、容疑者の男性は昨年9月、東京都新宿区の居酒屋で21歳の女性に酒を飲まて酩酊させ、中野区の自宅に連れ込み性的暴行をした疑いがもたれている。男性は「私がやったことに間違いない」と容疑を認めているという。男性のパソコンからは、酔った女性を暴行する動画が多数見つかり、警視庁は数十件の余罪があると見て捜査している。

今回、容疑者の男性は「準強姦」の疑いで逮捕されたが、「準強姦罪」というのは「強姦罪」と何か違うのだろうか。頭に「準」とつくと、強姦罪よりも程度が軽いような印象を受けるが、そうなのだろうか。矢澤利典弁護士に聞いた。

●強姦罪と準強姦罪はどう違う?

「女性を暴行・脅迫して性交に及ぶと、『強姦罪』に該当し、3年以上20年以下の懲役となります。

一方、女性の抵抗困難な状態を利用して性交に及ぶと、『準強姦罪』に該当します。

頭に『準』とつきますが、法定刑の重さは強姦罪と全く同じです」

矢澤弁護士はこのように説明する。抵抗困難とは、具体的にどんな状態だろうか。

「ひとつは、自分が性的暴行を受けていることが分からない状態です。具体的には、失神していたり、泥酔していたり、高度の精神障害があるようなケースです。

もうひとつは、手足が縛られていたり極度におびえているなど、物理的・心理的に抵抗することが非常に難しい状態です」

どちらかの状態なら、抵抗困難とみなされるということだ。

●「抵抗困難」になった原因は問わない

今回のケースで加害者は、女性を酒に酔わせ、前後不覚になった状態を利用して犯行に及んだとして「準強姦罪」に問われている。では、加害者が酔わせたのではなく、被害者が自分で酒を飲み、酩酊してしまった場合はどうか。

「準強姦罪の特徴は、被害女性が『抵抗困難』な状態になった原因が、加害者とは無関係の第三者や被害者自身にあっても成立する点です。

たとえ、被害女性が勝手にどこかで酒を飲んで酔いつぶれたのだとしても、その状態を利用して性交すれば、準強姦罪に該当します」

矢澤弁護士はこのように話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

矢澤 利典
矢澤 利典(やざわ としのり)弁護士 コスモス法律事務所
平成19年弁護士登録。熊本県弁護士会において、刑事弁護センター委員会、消費者委員会、公害環境委員会(委員長)等に所属する。取扱の多い案件は、家事事件(離婚、事件)、消費者事件、交通事故等の損害賠償事件、破産事件、刑事事件など。

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