放課後デイサービスに通う複数の男児にわいせつな行為をしたうえで、その様子を撮影したとして、強制性交や児童ポルノ禁止法違反などの罪に問われた元職員の30代男性に対し、京都地裁は2月16日、懲役7年(求刑:懲役8年)の実刑判決を言い渡した。
公判で被告人は、犯行自体は認めたものの、性的目的については否定し、独自の説明を繰り返した。
一方、被害児童の保護者は意見陳述で、被告人について「もともと嘘で塗り固める癖がある」と述べ、事件後の苦悩も明らかにした。(裁判ライター・普通)
●パソコンやスマホに約100点の児童ポルノ保存
起訴状によると、被告人は2016年から2020年にかけて、当時9歳から12歳だった男子児童3人に対し、計7回のわいせつ行為をしたほか、その様子を撮影し、パソコンやスマートフォンに約100点のデータを保存していた。
犯行は、勤務していた放課後デイサービスの施設内のほか、自宅や遠方に向かうフェリー内、他県の駐車場などでもおこなわれた。被告人を信頼し、遠方まで出かける中で被害に遭ったケースもあったという。
被告人は、いずれの起訴事実も認めている。
●「なぜ犯行に及んだのか、自分でもわからない」
弁護人からは、謝罪文や示談の成立を示す証拠は提出されず、被告人のために証言する証人もいなかった。検察官の立証後すぐに被告人質問がおこなわれた。
被告人は、被害者らに謝罪の言葉を述べたうえで、自身の幼少期の体験について語り始めた。
5歳から中学1年生までの間、自宅や公園、友人宅、公衆トイレなどで、複数の人物から性的被害を受けたと説明した。加害者の中には実の兄も含まれていたという。
弁護人:そういう被害を受けたらどういう思いになるか理解してるあなたが、今回犯行を行ったのはなぜ?
被告人:正直わからないです…。
弁護人:各犯行はあなたにとって性的興味があることなんですか?
被告人:興味とはまったく違います。自分がされたことを理解したいというか。
弁護人:それってどういうこと?
被告人:なぜ自分がされて身体が反応したのかとか、学生のとき友人と性的な話をしてもそんな話にならないし。
しかし、弁護人から「その理由で犯行が許されるのか」と問い返されると、声の小さかった被告人は言葉を詰まらせた。
被告人は、性に関する悩みについてカウンセリングを受けようとインターネットで検索したこともあったが、相談先がわからず断念したという。
身柄勾留中には心療内科を受診し、今後は治療を受けながら自らの行為と向き合うと述べた。
●「性的目的はない」との主張
検察官は、被告人が自身も性被害を受けた経験があるにもかかわらず、同じような行為を加害者としておこなった点を追及した。
検察官:行為の最中、被害者の気持ちは考えなかったの?
被告人:と思います。
検察官:考えられていない原因は、どう思っている?
被告人:ちょっと、よくわからない。
また、性欲を満たす目的だったのではないかと問われた際も、被告人はこれを否定した。話題は児童ポルノへ移っていく。
検察官:撮影はどうしておこなっていたのですか?
被告人:自分が性被害にあっているとき、写真や動画を撮られていたので、性行為のとき撮影するのが普通なのかなと思っていました。
検察官:各犯行の動画を見返したことは?
被告人:ありました。
●旅行から帰宅後、押し入れに閉じこもった息子
ある被害児童の母親は文書で意見陳述をおこなった。
この母親は被告人のことをよく知っているという。被告人について「嘘で塗り固める癖がある」と指摘。息子(被害児童)からも「口癖は『バレなかったらいい』だった」と聞いていたという。
息子には発達に特性があり、家族旅行が難しい状況が続いていたが、被告人が連れて行くと言ったことから任せた。しかし、旅行から帰ると、息子は押し入れに入り込み、震えていたという。
母親は、事前に異変に気づけたのではないか、息子はSOSを発していたのではないかと自らを責めたと述べた。事件後、息子との会話を増やそうとしたが、情緒が不安定になり、怒りをぶつけられるだけで、一時期は会話が途絶えたという。
母親は「これ以上注意されたくないと思っている息子に、自尊心を持たせたいと願ってきた。そんな家族の思いを逆手に取った犯行だ」として、強い憤りを示した。
また、「施設の従業員には普段から世話になっていただけに、今回の事件で他の職員まで信用を落としたことが許せない」とも述べた。「隙のない制度をつくり、子どもたちを守ってほしい」とうったえて陳述を締めくくった。