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ジブリパーク来場者が不適切写真を投稿、 大村知事は「器物損壊に近い」 法的問題は?
ジブリパークのある愛・地球博記念公園(daysgoby_JPN / PIXTA)

ジブリパーク来場者が不適切写真を投稿、 大村知事は「器物損壊に近い」 法的問題は?

愛知県長久手市の「ジブリパーク」で、来場者がキャラクター像にわいせつ行為をする写真がツイッターに投稿され、物議をかもしています。

投稿された写真には、来場者がキャラクター像の胸を触ったりスカートの中にスマートフォンを差し入れたりしている様子が写っており、ネットでは「気持ち悪い」「なぜネットにあげる?」など、批判の声が集まっています。

これを受け、同県の大村秀章知事は3月9日の記者会見で、「(こういう形のことをされて)SNSで写真をUPされるというのは、極めて不愉快な話。絶対にやめてもらいたい」と毅然とした対応を取る姿勢を示しました。

さらに、撮影者が特定された場合には、「厳しい措置を取らざるをえませんよね。器物損壊に近いんじゃないんでしょうかね。回転寿司店での迷惑行為と一緒ですよね。極めて悪質だと思います」とも話しています。

今回の迷惑行為は、大村知事が話すように、器物損壊罪にあたる可能性はあるのでしょうか。本間久雄弁護士に聞きました。

●器物損壊罪にはならない

——器物損壊罪に当たる可能性はあるのでしょうか?

器物損壊罪の要件は、他人の所有する財物の効用を害する行為ですが、今回の行為だけでは成立はしないと思います。

写真を見る限り、誰でもフィギュア像を触ることが予定されている配置になっていますので、不快感をもよおすものではありますが、胸の部分を触ったからフィギュアの効用を害するとまではいえないと思います。

これがフィギュア像に落書きしたり大小便をかけたりした場合には、器物損壊罪にあたる可能性があります。

唯一、当てはまりそうな処罰規定というと、軽犯罪法の1条の31号の「他人の業務に対して悪戯などでこれを妨害した者」ではないでしょうか。

ジブリパークを運営する「他人の業務」に対して、わいせつ行為をする形で写真を撮ってSNSにアップする「いたずら」などで、パーク側が苦情や問合せに対応せざるを得なくなったことから、「(業務が)妨害」されたものと言えるのではないかと思います。

プロフィール

本間 久雄
本間 久雄(ほんま ひさお)弁護士 横浜関内法律事務所
平成20年弁護士登録。東京大学法学部卒業・慶應義塾大学法科大学院卒業。宗教法人及び僧侶・寺族関係者に関する事件を多数取り扱う。著書に「弁護士実務に効く 判例にみる宗教法人の法律問題」(第一法規)などがある。

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