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暴力団の「ハロウィン」お菓子配りが禁止に…兵庫県「改正暴排条例」をどう見る?
画像はイメージです(マハロ/PIXTA)

暴力団の「ハロウィン」お菓子配りが禁止に…兵庫県「改正暴排条例」をどう見る?

暴力団の組員が18歳未満の子ども(青少年)に金品を配る行為などを禁止する改正暴力団排除条例が10月5日、兵庫県議会で全会一致で可決された。

国内最大の指定暴力団・山口組(神戸市灘区)が毎年のように、10月末のハロウィンにあわせて、近所の子どもたちを招いて、組員が菓子を配っていた。

今回の条例はこうした事態に歯止めをかける目的がある。これまでも金品の配布を禁じる条例はほかの自治体でも制定されているが、行政命令・罰則付きは全国で初めて。

●青少年に金品を与えることなどが禁止になった

報道によると、改正条例では、正当な理由をのぞいて、18歳未満の子どもに(1)事務所の出入りをさせること、(2)小遣いなどの金品を与えること、(3)支配下に置く目的で連絡すること――などが禁止される。

もし、これらの禁止行為に違反した場合、県公安委員会は、組員に中止命令を出さるほか、組代表者に再発防止命令を出すことができる。命令に従わない場合、6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される。

●菓子配りは「誤った認識」を与える

今回の改正条例について、インターネット上では「お菓子くらい別にいいと思うけどね」「ヤクザも生きづらくなったなあ」などという声も一部ある。民事介入暴力にくわしい齋藤理英弁護士は次のように解説する。

「暴力団には二面性があります。昔から地域の顔役などとして、"何かあったら頼りになる人"や"意外にいい人"というふうに見せる。一方で、裏でひどいことをやっています。本質は後者のほうです。

阪神大震災のときにも『炊き出し』をして話題になりましたが、その評価はさておき、ハロウィンで菓子を配ることはそれと違って、子どもたちにヤクザに親和性を持ってもらって、『ヤクザはいい人だ』ということのみならず、将来の道として『ヤクザも悪くないんじゃないか』というような誤った認識を与えることになりかねません。

今回の条例は、そうした状況に歯止めをかけるものといえます。暴力団が菓子を配れなくなることで、社会的な制約を受けるわけでもないので、報道のかぎりでは、今回の条例は評価できるものだと思います」

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