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独身と偽り「カネはまだ?」不倫相手にせびる夫…妻も巻き込まれる危険は?
画像はイメージです(Ushico / PIXTA)

独身と偽り「カネはまだ?」不倫相手にせびる夫…妻も巻き込まれる危険は?

夫が独身と偽り、女性からカネをせびっているようだーー。そんな衝撃的な相談が、弁護士ドットコムに寄せられました。

相談者によれば、夫は相手女性に、結婚のために貯金をさせています。そして「貯金まだ?」「貯金はやく」などと女性からお金を巻き上げようとしているメールのやりとりを発見しました。

相談者は離婚は考えていないものの、夫が独身と偽り、結婚を口実に相手からお金をもらっていることは「何か罪になるのでしょうか?」と、質問しました。夫はどんな罪に問われ得るのでしょうか。寺野朱美弁護士に聞きました。

●夫の行為は「詐欺罪」に該当する

「相談者の夫が、相手女性に対して、独身であると偽って結婚資金として必要であるなど虚偽の説明をし、相手女性がそれを信じて夫に金銭を交付していた場合、夫の行為は詐欺罪(刑法第246条1項)に該当します。

また、夫がまだお金を受けとっていなくても、お金を騙し取るために相手女性に虚偽の説明をした時点でも、詐欺未遂という罪が成立するので、刑罰の対象になりえます(刑法第250条)」

ーー相談者は夫の行為によって、自分も罪に問われるのではないか、と心配しています。

「もし、相談者の夫が実際に相手女性から金銭の交付を受けており、夫からそれを伝えられた上で相談者がそのお金を受け取ったり、生活費として使ってしまったりした場合、盗品等無償譲受罪(刑法第256条1項)または盗品等保管罪(同条2項)が成立します。

しかし、この罪には親族間の犯罪の特例(刑法第257条)があり、一定の範囲の親族が無償譲受け等の相手であった場合には、刑が免除されることとなっています。配偶者は特例の対象の親族ですので相談者の刑は免除されます。

ただ、刑が免除されるからといって、相談者も、相手女性からお金を騙し取ること自体に協力するようなことがあれば、詐欺罪の方の共犯となる可能性もあるので絶対に関与してはいけません」

プロフィール

寺野 朱美
寺野 朱美(てらの あけみ)弁護士 本町ユナイテッド法律事務所
大阪府出身。京都大学法科大学院修了。離婚、相続、犯罪被害者支援(交通事故を含む)等、個人の法律問題を幅広く取り扱う。アメリカの大学を卒業しており、国際離婚や外国人がかかわる刑事事件等の英語案件も対応可能。

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