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ボウリング球を上階から投げ落とした「小学生」、殺人未遂で児相通告…司法手続きは?
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ボウリング球を上階から投げ落とした「小学生」、殺人未遂で児相通告…司法手続きは?

大阪府和泉市の集合住宅でボウリングの球を上層階から投げ落とした疑いで、大阪府警が殺人未遂の非行内容で、小学生3人から事情を聞いていると報じられている。報道によると、集合住宅は11階建て。5月14日に、付近の住民が大きな音を聞いた後に敷地内に落ちているボウリングの球を見つけて、警察に通報したという。

小学生は、少年法の規定で刑事責任に問われない14歳未満だ。児童相談所に通告される予定だというが、こうした14歳未満の少年は、今後どのような処分を受けることになるのだろうか。吉村耕介弁護士に聞いた。

●14歳未満「触法少年」は刑事責任に問われない

「14歳に満たない年齢で、刑罰法令に触れる行為をした少年を『触法少年』といい、刑事責任は問われません。

しかし、警察による調査は行われます。通常、身体拘束はされませんが、触法調査の結果、当該少年が要保護児童(保護者がいない、保護者による監護が不適当と認められる児童)と判断される場合には、児童相談所に『通告』されます。そして、触法少年の身体拘束が必要な場合には、児童相談所において一時保護されることになります。

また、触法調査の結果、非行事実が一定の重大なものであると考えられる場合には、調査に係る書類とともに事件を児童相談所長に送致しなければならないとされております(少年法6条の6第1項)。今回の殺人未遂の非行事実は、これに当たります」

●司法手続きはどのように進む?

送致されると、その後はどのように司法手続きは進むのか。

「児童相談所は、送致(通告)を受けると、非行事実のほか、触法少年の生育歴、家庭環境などの調査を実施します。

そして、家庭裁判所の審判に付することが適切であると認める少年は、家庭裁判所に送致されることになります。家庭裁判所に送致されると、基本的に14歳以上の少年と同じように少年審判に付されることになります。

今回の件は、少年の年齢や家庭環境までは明らかではありませんが、殺人未遂という非行事実であれば原則として家庭裁判所に送致されることになります(少年法6条の7第1項)。審判の結果、児童自立支援施設、児童養護施設、少年院に送致されることがあります。

もっとも、おおむね12歳未満の少年については、少年院への収容が認められておりませんので、今回の小学生の年齢によっては、少年院に送られる可能性はありません」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

吉村 耕介
吉村 耕介(よしむら こうすけ)弁護士 大川法律事務所
大川法律事務所所属(大阪府和泉市在住) 大阪弁護士会労働問題特別委員会、同刑事弁護委員会

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