50cc以下の原付バイクに「黄色」ナンバーをつけたら罪になる?

2013年07月31日 10時02分
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無免許運転」で摘発された男性が裁判で無罪となり、話題となっている。

男性は昨年9月、排気量50cc以下のバイクしか運転できない原付免許で、50ccを超えるバイクを運転していたとして摘発された。ところが運転していたバイクの排気量は48ccだったことが、弁護側の調べでわかり、検察からも「無罪」が求刑されるという異例の事態となった。

朝日新聞によると、事態の原因は、このバイクに、50ccを超えるバイクに交付される「黄色のナンバープレート」が付いていたことだった。バイクは「中古」で、運転の男性はこのバイクの4番目の所有者。黄色のナンバープレートに付け替えたのは2番目の所有者で、「制限速度など、原付きバイク固有の規制で摘発されるリスクを減らしたくてナンバーを取りかえた」と話しているという。検察はナンバープレートや書類上の排気量をもとに手続きを進めていた。

運転していた男性にとっては迷惑な話だと思われるが、気になるのは、ナンバープレートを付け替えた2番目の所有者の行為だ。排気量48ccのバイクなのに50cc超として申請し、ナンバーを付けた場合、何らかの法律に違反しないのだろうか。交通問題にくわしい平賀睦夫弁護士に聞いた。

●原付のナンバープレートは排気量ごとに「色分け」されている

平賀弁護士によれば、原動機付自転車(原付)のナンバープレートは、各市区町村が管理・発行し、所有者に軽自動車税を課すことになっているという。排気量によって、50cc以下は第一種、90cc以下は第二種乙、125cc以下は第二種甲と区分けされ、それぞれ白色・黄色・桃色のナンバープレート(課税標識)が交付されることになっている。

「排気量がもっとも少ない原付第一種(50cc以下)は、運転技能の試験なしで免許が取得できますが、最高速度が30km/hに制限され、二段階右折が義務づけられるなど、さまざまな規制があります。

今回の原付バイクは50cc以下なので、本来は『白色』のナンバープレートを付けるべきでした。ところが、『黄色』のプレートをつけていて、それに対応する原付第二種(50cc超~125cc以下)の運転免許を持っていなかったことから、『事件』となったのでしょう。

しかし、現実の排気量は48ccで、50cc以下だったため、無免許運転については『無罪』となったわけです」

●2番目の所有者には「私文書偽造・同行使罪」が成立する可能性がある

では、本来付けるべきではない「黄色」のナンバープレートに付け替えた2番目の所有者の責任はどうなるのだろうか。

「この2番目の所有者は、『制限速度など、原付きバイク固有の規制で摘発されるリスクを減らしたくてナンバーを取りかえた』ということですから、まさに、さきほど説明した原付第一種のさまざまな規制を回避することを狙ったのです」

このように指摘したうえで、平賀弁護士は次のように続ける。

「この所有者は、問題の原付バイクを入手したとき、役所に『軽自動車税申告(報告)書兼標識交付申請書』を提出して、『黄色』のナンバープレートの交付を受けたはずです。具体的な申請手続は不明ですが、一般的な手続から考えると、虚偽の総排気量(50cc超)を記載した他人名義の譲渡証明書を作成し、役所に提出したものと推察されます。

そうだとすれば、私文書偽造・同行使罪(3月以上5年以下の懲役)が成立する可能性があります。また、その役所の税務課の課税台帳に虚偽の事実を記載させたということで、公正証書原本不実記載罪(5年以下の懲役または50万円以下の罰金)に該当することも考えられます」

どうやら、原付の2番目の所有者が「黄色」のナンバープレートに付け替えたことは、犯罪といわれても仕方のない行為だったようだ。その一方で、平賀弁護士は、原付第一種(50cc以下)の免許しかもっていないのに「黄色」ナンバーの原付バイクを運転していた男性にも、落ち度がなかったとは言い切れない、と指摘している。

いずれにしても、中古バイクを購入するときは、その排気量とナンバープレートの色が正しく対応しているか、しっかり確かめる必要があるということだろう。

(弁護士ドットコムニュース)

取材協力弁護士

平賀 睦夫弁護士

平賀 睦夫(ひらが・むつお)弁護士

東京弁護士会所属。日弁連・人権擁護委員会、同・懲戒委員会各委員、最高裁判所司法研修所・刑事弁護教官等歴任。現在、(公財)日弁連交通事故相談センター評議員、(一財)自賠責保険・共済紛争処理機構監事等。

事務所名:平賀睦夫法律事務所

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