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2021年01月01日 10時00分

マイホームの資金援助「1000万円」浪費したドラ息子…親が「耳を揃えて返せ!」

マイホームの資金援助「1000万円」浪費したドラ息子…親が「耳を揃えて返せ!」
画像はイメージです(Ushico / PIXTA)

息子に住宅購入資金を援助するつもりでお金を渡したら、浪費されてしまった——。親の悲痛な気持ちが伝わってくる相談が弁護士ドットコムに寄せられた。

相談者は、息子から住宅を購入するつもりだと言われたため、こんな時のためにと貯めておいた1000万円を援助した。口頭で「家の購入費用に使って」と約束しただけで、特に契約書などは作成しなかったという。

ところが、息子は渡された1000万円を家の購入費用には使わず、別のことにすべて使ってしまった。騙されたと憤る相談者は、息子に渡したお金の返却をせまるも、「口約束は証拠にならないし、そもそもした覚えもない。勝手に振り込まれたお金だから返す必要はない」と半ば開き直った態度で返さないという。

相談者としては、騙し取られたお金を取り返すとともに、あまりにもひどい態度の息子は罰せられる必要があると考えているようだが、実現可能なのだろうか。田村ゆかり弁護士に聞いた。

●金銭の返還を実現するのはそう簡単ではない

——相談者と息子との間ではどのような契約が成立しているのでしょうか。

相談者は息子に「援助」しており、渡したお金を返してもらう約束はしていないので、贈与契約(民法549条)が成立していると考えられます。

——渡したお金が他の目的で使用されてしまった場合、取り返すことはできるのでしょうか。

息子に返還を求めても、相手が応じなければ最終的に裁判で請求するほかありません。

息子が住宅購入費用として1000万円を用いるために贈与したにもかかわらず、それ以外の目的で浪費されてしまった点、錯誤に基づく取り消しを主張して1000万円の返還を求めることが考えられます(民法95条1項)。

ただ、今回のケースでは口頭で約束しただけで、契約書なども作成しなかったようですし、この主張を通すのはそう簡単ではありません。

1000万円について従前から「家の購入費用として貯めている」と息子に言うなどしていたか、息子が具体的にどの住宅をいくらでいつ購入するなど相談者に説明していたか、手付金を支払うタイミングで1000万円を渡すなど住宅購入費用として贈与する意思が表示されていたかなどの個別の事情とそれを裏付ける資料があるか否かが問題となるでしょう。

●親子間では詐欺罪で罰することができない

——今回のケースで、息子は相談者を騙したことになるのでしょうか。

詐欺とは、他人を欺いて錯誤におちいらせ、その錯誤によって意思を表示させる行為を言うとされており、詐欺による意思表示は取り消すことができます(民法96条1項)。

今回のケースでは、相談者が従前から息子に対して「家の購入費用として1000万円貯めている」旨話していて、息子が住宅を購入する意思がないのに1000万円を贈与させようと企てて贈与の意思表示をさせたというような場合に限っては、詐欺に基づく取り消しが認められる可能性があります。

——刑事責任についてはどうでしょうか。

該当し得る罪として、詐欺罪(10年以下の懲役、刑法246条1項)が考えられますが、たとえば、息子が相談者から1000万円を詐取しようと企て、購入の意思がないのに架空の請求書や図面を見せてあたかも特定の住宅を購入するように見せかけて贈与の意思表示をさせた、というようなかなり違法性が高いケースに限られます。

もっとも、仮に詐欺罪が成立するとしても、親子間での詐欺については、たとえ裁判になっても必ず刑が「免除」されますので(親族相盗例、刑法251条・244条1項)、刑罰が科されることはありません。

●口頭のやりとりのみからトラブルに発展するケースは珍しくない

——今回のような場合で、のちのトラブルを防止するためにはどのような対策を講じておくべきでしょうか。

相談者としては、まず息子が具体的にどの住宅を、いつ、いくらで購入する予定なのか確認した上で、住宅購入資金として1000万円を贈与することを内容とする贈与契約書を締結しておくべきだったと言えます。

せめて、1000万円を渡す際に「住宅購入資金として」と記載した領収書に署名を求めるくらいはすべきでした。そのような契約書や領収書を作成していたからと言って息子が住宅購入以外にお金を使ってしまった場合直ちに返還を求められるわけではありませんが、錯誤や詐欺の主張立証はしやすくなります。

「親族間の贈与や金銭の貸し借りに書面を作るなんて…」と思われるかもしれませんが、口頭のやりとりのみで贈与や貸し借りをした結果、約束が守られなかったと弁護士に相談に来られる方は珍しくありません。

あげたお金だから相手が何に使おうと勝手だと心から思えるのでなければ、事前にできることはしておくことをお勧めします。

取材協力弁護士

田村 ゆかり弁護士
経営革新等支援機関。沖縄弁護士会破産・民事再生等に関する特別委員会委員。

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