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ホスト狂いの26歳女性が借金地獄、親にまで取り立ての「魔の手」が…
写真はイメージです(buritora / PIXTA)

ホスト狂いの26歳女性が借金地獄、親にまで取り立ての「魔の手」が…

「娘の借金が原因で、家族が精神的に追い込まれています」。弁護士ドットコムにこのような相談が寄せられている。

相談者によると、娘は26歳。ホストクラブに通い、4年前に多額の借金が発覚したという。

当時は他の家族とともに2年間で800万円を返済したという相談者。しかし、娘は懲りずに借金を重ね、その後もホストクラブの売掛金、携帯電話やタクシー代金の未払い、消費者金融からの借金などの督促が届くという。

中には、相談者を「保証人」としている借用書もあったようだ。

「貸主から嫌がらせを受けたこともあり、恐ろしい思いをしました。このままでは私も家族もめちゃくちゃになってしまいます」と相談者は限界を感じている様子だ。

娘がつくった借金は、ほかの家族が返済しなければならないのだろうか。借金問題に詳しい小松雅彦弁護士に聞いた。

●家族は原則として「返済義務」なし

ーー娘の借金は家族が返さなければならないのだろうか

「娘が知らぬ間につくった借金を、家族が代わりに返済する義務は、原則的にありません。

ただし、例外はあります。夫婦間の債務のうち、夫婦生活上の必要性があってできた債務(日常家事債務)は、他の一方も連帯して責任を負うという規定があります(民法761条)。

つまり、もし娘さんに夫がいれば、借金のうち衣食住の生活必需品購入など、『日常家事債務』の部分については、夫が返済責任を負う可能性があります。

ただし、裁判所は、高額な借金については、日常家事債務に含めない傾向にあります」

●知らぬ間に「保証人」にされることはない

ーー相談者は知らぬ間に「保証人」にされていたようだ。このように、家族が知らない間に保証人になっていて、債務を負わされている、ということはないだろうか

「もし、家族が自らの意思で保証人になっていたのであれば、話は別です。しかし、娘さんが勝手に業者との契約書に親族の名前を書いたり、親族名の印鑑を押したりしても、親族本人に保証人となる意思がなければ無効です」

ーーもし、ヤミ金業者が家族に請求した場合はどのように対応するべきなのだろうか

「毅然として『関係ない、払わない』という対応をとれば、ヤミ金もあきらめます。娘さんに代わって払うと、ヤミ金が味をしめて嫌がらせと請求を続けてくる可能性があります。くれぐれも支払いはしないでください」

●「借金は犯罪ではない」

ーー相談者は「娘本人に責任を取ってほしい」と思っているようだ。今後はどのように対応すればよいのだろうか

「娘さんには、ただちに弁護士に相談するよう、アドバイスをしてください。娘さんに『親族に迷惑をかけるな、自分で責任を持て』などと言うのは考えものです。ヤミ金の被害者は、冷静な判断ができなくなっていることが多いからです。

もし、追い詰めるようなことをすれば、別のヤミ金から借金をして被害を拡大したり、会社のお金に手をつけたり、夜逃げをしたりする危険性が高まりますし、万が一のこともありえます。

借金は犯罪ではありません。弁護士に相談すれば、なんとかなるものです。多重債務者を救うためにはいろいろな手段があり、弁護士費用を法テラスが立て替えてくれるときもあります」

プロフィール

小松 雅彦
小松 雅彦(こまつ まさひこ)弁護士 多摩オアシス法律事務所
後見・相続・遺言を多数取り扱う。「気軽に相談できる、親しみやすい法律家」をモットーに身の回りの相談にも対応している。薬害エイズ事件やハンセン病国賠事件、薬害肝炎事件なども担当した。

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