専業主婦から弁護士に 離婚・DV事件に特化し、人生の再出発をサポート
夫婦喧嘩をきっかけに弁護士を目指す
ーー弁護士を目指したきっかけや理由を教えてください。
大学時代は法学部だったのですが、弁護士になることは考えていませんでした。卒業後は銀行に就職して、結婚を機に退職し、専業主婦になりました。
あるとき、夫と大喧嘩して「1人じゃ食っていけないくせに」と言われたんです。妙に納得して、「1人で食っていけないと離婚できない。展望なく離婚してはダメだ」と思ったのが、弁護士を目指したきっかけです。
とはいえ、どうやって食えるようになるか迷いがありました。悩んでいたある日、夢の中に突然母が現れて、「あなたに司法試験を受けてほしい」と言われたんです。私の潜在意識が母の言葉となって出てきたのだろうなと思って、その日のうちにすぐ本屋さんに走り、司法試験予備校の通信講座を申し込みました。
当時31歳で、20歳前後の若い子たちに混じって勉強しました。家事や育児をしながらの勉強は大変でしたが、どうにか時間をやりくりして、合格できました。
結局未だに離婚はしていませんし、今ではとんだ笑い話ですけれど・・・。
「強いお母さんだな」胸に残る依頼者とのエピソード
ーー注力している分野を教えてください。
離婚やDVの相談を多く受けています。
独立したとき、弁護士会の副会長さんが心配してくれて、いろいろな仕事を紹介してくださいました。事件のほか、公的機関での女性向け相談会やDVの講演会なども任せていただいて、そういうご縁もあり離婚やDVの案件を多く手がけるようになりました。
依頼者が、初めて事務所に来たときよりも明るくなった姿を見ることが一番のやりがいです。人生の再スタートを切るお手伝いができることも、この仕事の醍醐味だと感じます。
ーー仕事をする上で心がけていることはありますか。
新人の頃、精神疾患を患っている方の相談を受ける機会がありました。本人の話を聞く前に、主治医の精神科の先生に、「どういうふうにお話しすればいいですか?」と質問すると、「あなたは法律的なことを正しくアドバイスしてください。その後の精神的なサポートは僕が面倒を見ます」と言われました。
この言葉を聞いて、心のケアも大事だけれど、弁護士として最初にすべきなのは法律的に正しい説明をすることだと思いました。それ以来、依頼者には、まず現状や見込みを法律的に正しく伝えることを大事にしています。
その上で、依頼者の状況に応じて必要なアドバイスをします。たとえば、相談にいらっしゃる方の中には、自分がDVの被害者だと気づいていない方もいるので、「あなたが受けているのはDVですよ」と指摘したり、精神的にダメージを負っている方には、心療内科の先生をご紹介したりすることもあります。
ーー弁護士として活動してきた中で印象に残っているエピソードを教えてください。
弁護士になってから15年経ち、ずいぶんたくさんの事件を手がけてきました。その中でも、非常に印象に残っている離婚事件があります。
依頼者は、夫の浮気が原因で、3人のお子さんのうち上の娘さん2人を連れて、他県にある実家に帰っていました。一番下の小学生の息子さんだけが、もともと入っていた野球チームをやめたくないということで、夫と生活していました。
しばらく調停で話し合いを重ねましたが、依頼者は「浮気が許せないので離婚したい」と希望し、最終的には離婚訴訟を起こすことになりました。
ここで問題になったのが、息子さんの親権です。依頼者としては、3人のお子さんの親権を取りたかったのですが、息子さんは夫のもとで何年も生活してきたので、依頼者が親権者となるのは難しい状況でした。
私が「息子さんの親権はお父さんに譲って、和解をしませんか」と提案すると、依頼者は毅然と「私が息子の親権を諦めたという形にしたくない。どうしても私と息子の手を離すのであれば、裁判所が手を切ったという形で、判決をください」とおっしゃったんです。
結果として裁判所は、息子さんの親権者は夫という判決を下しましたが、依頼者は納得されていました。
どうしても弁護士は、事件解決にあたって、和解できるならそれに越したことはないと考えます。でもこの事件の依頼者は、母親として、自ら息子の親権を諦めるのではなく、裁判所が手を切った形にしてほしいということで、あえて判決を望まれました。その毅然とした姿に、「強いお母さんだな」と感激したことを覚えています。
趣味は着物
ーー休日はどのようにお過ごしですか。
着物が大好きで、コロナ前は休日に着物で出かけることが楽しみでした。最近はなかなか着物で外出する機会がないので、お直しをしたり、呉服屋さんと熱く語り合ったりしています。初めて行くお店の方には、呉服関係の同業者と間違われることもあります(笑)。
着物の魅力は、色や柄、帯との色合わせなどで、その時々の季節感をコーディネートしたり、来ていく場への敬意を表現したりできることだと思います。ちょっとした自己主張ですね。
ーー今後の展望を教えてください。
今、実務家向けに養育費の本を作るお手伝いをしているので、まずは本の出版に向けてがんばりたいです。
長期的な展望としては、弁護士として与えられた使命を神様にお返しするときまで、ごく当たり前の弁護士であり続けたいと思っています。
ーー最後に、トラブルを抱えて悩んでいる方へのメッセージをお願いします。
悩みがあれば、勇気を持って弁護士に相談してほしいです。必ずしも思いどおりの解決にはならないかもしれませんが、相談に来て下さった方の人生が少しでもいい方向に進むように、誠心誠意対応します。
弁護士費用が心配な方もいるかもしれません。でも、いただいた金額以上のメリットがあるように頑張っていますし、「弁護士に依頼してよかった」と思っていただけるような仕事をしたいと思っています。
問題が大きくなってからだと、解決までにより多くのお金や時間が必要になることもあります。あまり心配せず、なるべく早めに相談に来ていただければと思います。