強引な勧誘をうけたり、高額なキャンセル料を請求されたりするなど、結婚式場の契約をめぐるトラブルがあいついでいる。2014年度に全国の消費生活センターなどに寄せられた相談数は1600件を超え、その9割近くが契約・解約に関するものだったという。
国民生活センターによると、「今日中に申し込めば100万円安い」「いま申し込まなければ良い日取りは埋まってしまう」など、契約を急がせるような勧誘行為によって申込金を支払ってしまうケースがあった。また、挙式の1年前に契約して、それから数日以内にキャンセルしたにもかかわらず、高額なキャンセル料を請求されたケースもあった。
国民生活センターは「契約内容やキャンセル料をしっかり確認してほしい」と呼びかけている。このようなトラブルにあった場合、申込金を返してもらったり、キャンセル料を支払わずに済んだりできるのだろうか。消費者トラブルにくわしい大村真司弁護士に聞いた。
●消費者契約法により「契約」を取り消すことができるケースも
「結婚式場をめぐるトラブルは、(1)契約締結段階の不適切な勧誘に関するトラブルと、(2)契約そのものは問題ないがキャンセル料が高額というトラブルの2つに大別できます」
大村弁護士はこう切り出した。(1)と(2)では、結論が違ってくるのだろうか。
「(1)については、取り消せる場合があります。
たとえば、『今日中に申し込めば100万円安い』というのは、実際には他の日でも同様の値引きがおこなわれることが多く、その場合『不実の告知』とあたります。
また、『今申し込まなければ良い日取りは埋まってしまう』と言い切られた場合、『断定的判断の提供』となります。
いずれも、消費者契約法により取り消すことが可能です。
しかし、ほとんどの場合、やりとりは口頭でおこなわれるため、『証明が難しい』という問題があります」
●キャンセル料が「無効」となるハードルは高い
では、(2)キャンセル料が高額な場合は、どうだろうか。
「キャンセル料については、たとえば結婚式前日にキャンセルされれば、式場側も大きな収入を失うことになるので、一定の合理性はあります。
しかし、同じく消費者契約法により、解約によって通常生じる平均的な損害を超えるキャンセル料の合意は、超過部分について無効になります。
たとえば、結婚式の1年前など、新たな予約が埋まるのが間違いないと思われるような時期のキャンセルなのに、高額のキャンセル料を請求されたという場合は、無効となる可能性が高いでしょう。
ただ、過去の判例には、適格消費者団体が起こしたキャンセル料の約款差止訴訟で、このような理屈を認めつつ、結論として平均的損害の範囲内であり有効とした判決があります。したがって、無効となるハードルは高いといえます」
大村弁護士はこのように述べていた。