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2016年11月28日 10時12分

最高裁「節税目的の養子縁組は有効」の初判断を下すのか? 弁護士が予想

最高裁「節税目的の養子縁組は有効」の初判断を下すのか? 弁護士が予想
写真はイメージ

相続税対策で生前に行った孫との養子縁組は無効かーー。別の遺族が孫を訴えた裁判で、最高裁第3小法廷が12月20日、弁論を開くと報じられている。判決では、節税目的の養子縁組は有効とする初判断を示す可能性がある。

報道によると、この裁判は、2013年に82歳で死亡した男性が生前、長男の子どもと養子縁組をしたことに対し、男性の長女と次女が無効を訴えていた。一審の東京家裁は有効と判断したが、二審の東京高裁は「税理士が勧めた相続税対策にすぎず、男性は孫との間に真実の親子関係を創設する意思はなかった」として、無効と判断。孫側が上告していた。

最高裁では、この二審判決が見直される可能性がある。相続について詳しい弁護士はどのように見ているのだろうか。加藤尚憲弁護士に話を聞いた。

●なぜ「養子縁組が節税になる」?

相続税は、大雑把に言うと、相続財産の額が「基礎控除」の額を超えた場合のみ課税されます。基礎控除は、次の式から導くことができます。

・基礎控除=3000万円+法定相続人の人数×600万円

つまり、養子縁組により法定相続人の数を増やせば、「基礎控除」の額が増えるため、節税に繋がるのです。

ただし、節税目的で多数の人を養子にすることを防ぐため、実子のいる場合は養子1人まで、実子のいない場合は養子2人までを、上記の式の中で法定相続人の人数として数えることになっています。

●節税目的の養子は本当にダメなのか?

養子縁組は、当事者の間で養子縁組をする意思を欠いている場合は、無効となります。

節税目的だからと言って、直ちに養子縁組をする意思を欠いているとは言えません。しかし、節税が唯一の目的の場合、本当に養子縁組をして、法律上の親子関係を築く意思があるのかが問題となります。

過去の下級審では、事案によって判断が分かれています。節税だけが目的の養子縁組を無効と判断した裁判例もありますし、他方で、「節税目的だからといって直ちに縁組意思がないとはいえない」として、養子縁組を有効と判断した裁判例もあります。

●最高裁、見直しの可能性は?

さて、裁判所が上告を棄却する場合は、弁論を開く必要がありません。逆に言えば、今回のように、わざわざ弁論が開かれることは、二審の判決が見直される可能性が高まったとも言えるのです。

しかし、最高裁が二審の判決を見直すとしても、必ずしも「節税目的の養子縁組は全て有効である」という内容の判断を行うとは限りません。

むしろ「節税が目的であるとからといって、それだけで縁組意思がなかったとはいえない」という至極当たり前の判断をする可能性もあると思われます。

仮にそうだとすれば、今後も節税目的の養子縁組の有効性はケースバイケースの判断にとどまることになるでしょう。この判決でも、従来の下級審裁判例で用いられてきた判断の基本的な枠組みが維持されるものと予想します。

(弁護士ドットコムニュース)

加藤 尚憲弁護士
東京大学卒、弁護士・ニューヨーク州弁護士
弁護士ドットコム上で半年間に約500件の相続の質問に回答し、ベストアンサー率1位を獲得。「首都圏版 2016年▶2017年 みんなの弁護士207人」(南々社出版)相続部門 掲載
事務所はJR中央線・丸ノ内線荻窪駅北口から徒歩2分
相続総合情報サイト「わかる相続」:http://わかる相続.com/
「わかる相続」公式ブログ:http://wakarusouzoku.blogspot.jp/
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