宮嵜 秀典 弁護士
Aさんから遺産分割協議の交渉事件として依頼を受けました。 そこで,まず,相続人を確定させるために被相続人の戸籍を取り寄せ,相続人を確定させました。戸籍を取得する中でCさん,Dさん,Eさんの住所についても住民票等を取得して調査を行いました。 Cさん,Dさん,Eさんの住所が判明したため,Aさんの父の相続人になっていることや,遺産分割協議を行って遺産共有状態を解消しなければならないことなどを書面にて説明をし,Cさんらから連絡が来るのを待ちました。 それぞれ弁護士に連絡があり,意見を聞きました。3名のうち2名は遺産はいらないという回答でした。というのも遺産の中には,多額の預貯金もありましたが,山林や田畑が多く含まれており,相続しても関東圏などに住んでいるCさんらには管理ができないため,預貯金も放棄するから山林等についても相続しないようにしたいというのが回答の理由でした。 Eさんは,不動産は相続したくないが,預貯金は相続したいという意向でした。 Aさんは父が亡くなる前から遺産の山林や田畑の管理をしていたので,不動産を相続することに異論はありませんでした。その代わり管理費用として預貯金はなるべく多く相続したいという意向がありました。したがって,預貯金だけ相続したいという意向を持ったEさんとだけ意見の相違がみられました。 そこで,弁護士は,Eさんに預貯金を放棄してもらう代わりに山林等も相続させないことで合意をしてもらえないか交渉をしました。 具体的には合意をして頂けない場合には,遺産分割調停,審判手続へ移行せざるを得ないこと,審判となればAさんも不動産をなるべく相続しない方が管理費用も少なくなるため,不動産を現物分割することになる可能性があることを伝えました。 現物分割とは,おおまかに言えば,1つの不動産を複数の不動産に切り分け,相続人にそれぞれ配分して単独所有とする共有状態の解消方法です。したがって山林や田畑を2つに分け,その1つをEさんの単独所有とすることになります。 そうなれば,Eさんは預貯金を相続できる代わりに遠方にある山林の管理をしなければならなくなります。管理を怠って事件,事故が発生すればEさんは賠償責任などの法的責任を追及される可能性もあります。 Eさんは弁護士の提案とその説明を受け,預貯金を放棄する代わりに山林等の不動産も相続させないでほしいという意向に変化しました。 その結果,Aさんが全ての預貯金,山林等の不動産を相続し,他の相続人は何も相続しないという内容で協議が成立しました。Aさんの希望どおりになりました。 その後,弁護士が遺産分割協議書を作成し,相続人全員の署名と押印を取り付け,預貯金の引き出し,不動産の登記名義の変更を済ませて解決となりました。
【遺産分割】相続人と疎遠で住所も分からず遺産分割協議の話し合いができない。の
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