神内 伸浩 弁護士 インタビュー
弁護士を目指したきっかけ
私は大学時代に考古学をやっておりまして、法律とは無縁の学生時代でした。そして、コナミに就職し、人事部で健康保険、厚生年金保険、雇用保険等の、社会保険関係の得喪等に関する業務を担当しておりました。しかし、社会保険のような専門的な仕事は多くの人には良く分からず、私も例外ではなかったので、これでは仕事が出来ないと思いました。
そこで、こういった社会保険関係の分野を徹底的に勉強してエキスパートになろうと思い立ちました。その上での最終目標が国家資格である社会保険労務士の資格でした。私にとってこの社労士の勉強がそもそもの法律を学ぶキッカケとなりました。
普通、法曹を目指す人や、法学部の学生は、法律の勉強といったら憲法や民法から勉強を始めるのが一般的だと思いますが、私にとっての法律の入り口というのは、労働基準法や健康保険法でした。運にも恵まれ、社労士の試験には一発で合格することができました。そこで、この資格を生かし、もっと自分に出来ることはないものか、もっとステップアップできないものかという思いが強まり、転職をしようと決心いたしました。
そして、「人事の仕事を今度はグローバルな視点でしてみたい」という思いから、サン・マイクロシステムズという外資系の会社に関心を持ちました。当時の私は英語が喋れず、苦手意識すらありましたが、サンでの面接の際、面接官の方に、「社労士という資格は直接サンで役立つわけではないが、努力して社労士の資格を取ったという心意気を買いましょう」と言われて、入社することが出来ました。当然入社後に、英語の勉強をしました。イギリス人の上司の下で働かせていただき、ネイティブの方と直接英語を話して、聞いて、ある程度英語も習得することが出来ました。
様々な意味で、サンでは良い勉強になったのですが、その反面少し物足りなさも感じていました。3年ほどサンで働き、あるプロジェクトを達成することが出来た達成感を感じたこともあり、自分もサンで一つのことをやり遂げたのかなという充足感を感じたことも、次へのステップアップという方向へベクトルが向いていった要因でもあります。
また、人事部の仕事は法務部の仕事と時々接点があるのです。例えば社宅の手続きをする際、人事部が窓口となり、法務部で賃貸借契約書をチェックする、といった流れになるわけで、法律を身近に感じてはいたのですが、先にも述べましたように、私は民法を学んだ経験がありませんでしたので、法務部から「抵当権がどうのこうの」と言われてもなんのことだか分かりませんでした。
「これでは駄目だ、民法や商法はビジネスの世界では基本だ」と痛感し、本気で法律の勉強に取り組もうと決心しました。そのためには、目標が必要だと思い、「どうせなら目標は大きく」と考え、最難関である司法試験を目指すことに決めたのです。しかし、司法試験は生ぬるい試験ではなく、働きながら合格することは難しいと思い、サンを退職して受験勉強に専念し、なんとか合格することが出来ました。
こういった、紆余曲折を経て弁護士になった私ですが、法学部出身で、社会人経験も無く、いわゆる法律のエリートのような人々とは違い、雑多で様々な経験をしてきたことは、今では逆に弁護士としての強みになっていると思います。アルバイトも色々なことをしましたし、遠回りをして弁護士になりましたが、無駄ではなく、それも全て自分の糧になっていると思います。
印象に残っている案件(事件)
やりきれない事件です。弁護しないといけないのに、相手方の方が明らかに理に適っていたり、心情的にも相手方に同情してしまうような事件ですね。そういう場合は仕事だからと割り切るしかないのですが、そこが辛いところです。
私の依頼者が明らかに嘘をついているということがハッキリと分かる瞬間などもあり、切なさが募る事件を経験したこともあります。
そういった依頼者の方に対して、遠回りに説得していく場合、私自身の人生観や、人としての深みが大切になってきますので、事件を通してもっと自分を大きくしていきたいと思います。
仕事の中で嬉しかったこと
依頼者の方から直接お礼の言葉を頂いたときです。単に事務所の窓口役としてではなく、私個人に対し「神内先生に担当してもらえてよかった」と言って下さる時は本当に嬉しいものです。
そういった言葉は自分の糧になりますし、頑張ろうという気持ちになれますね。
休日の過ごし方
睡眠不足になりがちなので、しっかりとした静養に努めています。また、子供が小さいということもあり、一緒にDSでゲームをしたり、ポケモンセンターへ連れて行ったりするなど、様々なイベントへ足を運ぶこともあります。
弁護士としての信条・ポリシー
自分で正しいと思ったことを信じて貫き通すということです。もちろん人の意見には耳を傾けますし、なるほどなと思えば見直しますが、修習の「期」が上の先輩弁護士の意見を盲目的に信じるというスタンスではありません。
確かに、経験がものを言うような法律論の解釈などは積極的に聞いて吸収しようと心がけています。しかし、依頼者との関係という視点からいえば、依頼者の方と直接話をするのは自分自身であり、伝聞ではなく、現場の「生」の情報を持っているのは自分です。
私自身、多様なバックグラウンドからくるバランス感覚というものは自分の強みだと思いますので、実際に依頼者の方と接したときに自分が感じたこと、思ったことについて、先輩弁護士の先生と意見が食い違った場合、単に自分の方が「期」が下だからという理由だけで追従するようなことはしません。
依頼者に対して気をつけていること
私の考えを押し付けるのではなく、依頼者の方がどうしたいのか、希望を聞くようにしています。そもそも、それが分からないから弁護士のところに相談に来ているのではと思われるかも知れませんが、そういう場合でも、自分がどうしたいのかを考えてもらい、私も依頼者の方と一緒になって考えていくということを心がけています。
全情報を持っているのはあくまで依頼者の方ですので、その声に耳を傾け、意向を汲み取ることが重要なのではないかと思います。
関心のある分野
会社勤めをしていた頃から社労士としても長年携わってきた「人事労務」には今後も一つの柱として関わっていきたいと思います。労働問題を専門とした弁護士になれればと思います。
法律を学ぶ入り口が労働基準法であるというような弁護士はなかなか少ないと思いますし、自分の独自性を主張できる分野であるとも思っています。
今後の弁護士業界の動向
弁護士の人数が増えれば当然競争が激化していくでしょう。弁護士業界も弱肉強食の時代が到来したと言えるでしょう。実際、現在修習生の就職難が取りざたされておりますし、弁護士同士でも、力の差が出てきています。
また、そういった競争に勝ち残るためにも、弁護士が専門分野に特化していくと思います。今までは何でも出来る弁護士が一定の水準でもありましたが、今後はそうはいかないでしょう。自分の得意分野、専門分野は必ずもっていないと厳しい時代になると思います。
今後のビジョン
3年強、高井・岡芹法律事務所で勤務弁護士として研鑽を積んでまいりましたが、平成23年1月からは独立し、自分で仕事の輪を広げていくポジションになります。
神内先生に頼んでよかったなと思われるように一つ一つの事件、一人一人との関係を大切にすることで、またそれが他の人との関わりに広がっていくように努力したいと思います。 その意味では大変ですが、非常にやりがいがありますね。
ページを見ている方へのメッセージ
私は法律の英才教育を受けてきたわけではなく、様々な紆余曲折を経て弁護士になった、いわば亜流の弁護士です。しかし、これまでの人生で様々な経験をしてきたということは 、逆に強みだと思っています。広くご相談を頂ければ、拙いながらも他の弁護士が持っていない経験からのアドバイスをさせていただきます。
特に人事労務においては、私自身、企業内の人事部で長年働いてきましたので、お客様と同じ立場を経験しており、担当者ベースの心情などを踏まえたアドバイスをさせていただけるかと思います。