中村 一郎 弁護士 インタビュー
弁護士を目指したきっかけ
一番のきっかけは祖父と父が弁護士をしていたことです。以前は事務所と自宅が繋がっていたので、父が書面を作成したり、電話でいろいろな方と連絡をとったりしている姿を日常的に見ていました。また、依頼者の方が自宅に来られることもよくありました。幼い時から弁護士業務がとても身近にあったからこそ自分も弁護士に憧れ、目指しました。
仕事の中で嬉しかったこと
やはり、いい結果を出せたときが一番嬉しいです。依頼者の主張や気持ちにとても共感できても、どうしても法的にはいい結果を出すのが難しい案件というのがあります。そのようなときに簡単に諦めてしまうのではなく、なんとか依頼者の希望を叶えられないかと色々な法律構成を考えたり、様々な事情調査をしたりと一生懸命工夫をして、依頼者に喜んでいただける結果を出すことができたときは本当に嬉しいです。
弁護士になって大変だと感じること
依頼者との関係です。弁護士は、依頼者の主張や気持ちに共感しながらも、法律家として結果を意識する冷静な目線を持つ必要があります。依頼者の願いが100%叶えられることは必ずしも多くありません。一番の希望を叶えるために別の点をある程度妥協しなければいけないこともあります。
そのような場合に依頼者に理解していただけず、それまでに築き上げた信頼関係が崩れてしまうこともあります。依頼者の気持ちを汲み取りつつ、法的なアドバイスをするというのが一番大変です。
仕事をする上で意識していること
依頼者の方にお話しをするときはきちんと、正しく、かつ段階的に話すことを意識しています。抽象的に話すことは簡単ですが、それでは具体的な解決策がわからず、曖昧な部分が出てきます。
かといって、具体的な話ばかりをしてしまっては、それが唯一の解決策だという誤解を生んでしまったり、融通が利かないようなイメージを与えてしまったりします。なので、依頼者の方にお話しするときは、順を追って段階的に話し、正しい理解をして頂けるよう意識しています。
関心のある分野
個人的な気持ちとしては相続問題に関心があります。相続問題にはまだ理論的に結論が出ていないものが多くあり、法律の中でもまだまだ改善の余地がある分野だと思います。そのような分野に対して、法の趣旨など根本的なところから考え直し、書面を作ったりすることはとてもやりがいを感じます。
今後の弁護士業界の動向
厳しくなると思います。弁護士の数が増えて競争が激しくなっているので、漫然と今まで通りの業務をこなしていては生き残れないかもしれません。サービスやレベルの向上など、今後はいかに弁護士自身が工夫していくかが大切になってくると思います。
その意味で、個々の弁護士や法律事務所が、弁護士会の設置した法律相談センターに頼らず、自力で地元の相談を幅広く受け付けられる存在感・安心感・信頼感を強める必要があると思います。法律相談センターは弁護士会が設置し広報しているので、法律事務所を知らない方や知っていても不安を感じている方が、安心して気軽に相談できる利点があります。
しかしこれは、裏返していえば、個々の法律事務所は、その存在を知られていなかったり敷居が高くて行きにくかったりしているということでもあります。自宅や職場の近くに法律事務所があるのに、わざわざ遠方の法律相談センターに行ったり、センターで担当した弁護士の事務所まで継続相談に行ったり依頼をしたりするのは、依頼者にとっても弁護士にとってもいいことではありません。
市民が、近くにある法律事務所に、気軽に安心して相談できるようにならなければいけないと思います。ただし、近くに法律事務所がない地域や、専門性の高い相談などについては、法律相談センターがフォローするといった役割分担が重要だと思います。そのためにも、個々の法律事務所が地域に溶け込み、地元の方から信頼される地位を築かなければいけないと思います。
「何か困ったら法律事務所に行こう」と思っていただける信頼できる存在になるためには、法律事務所内における弁護士同士の連携、他の専門家との連携も必要だと思います。弁護士が複数で担当することで丁寧かつ正確な結論を導けますし、税理士など他の専門家と協働することで多角的かつ具体的なアドバイスをすることができます。
限られた依頼者を奪い合うのではなく、もっと多くの依頼者が自ら気軽に法律事務所を訪れるようになったらいいなと思います。