加藤 信之 弁護士 インタビュー
弁護士を目指した理由
元々は、たまたま法学部だったので、司法試験でも受けてみるかということで司法試験を受け始めました。ただ、司法試験の勉強を進めるうちに、弁護士になって何か社会の役に立ちたい、という思いが強くなりました。
また、当然と言いますか、学生時代には受からず、大学5年、6年と留年して司法試験を受け続けると、ここで辞めたらもったいないという気持ちもでてきました。
印象に残っている事件
色々な意味でそれぞれの案件に印象があるのですが、敢えて言うとすればドメイン訴訟という裁判をあげることができます。これは、ある有名企業のドメインネームを、関係のない会社が取得して、会社のホームページを作ったりしましたので、私や事務所所長の北村晴男弁護士が当該有名企業の代理人となり、当該有名企業が当該ドメインネームの使用差し止めを求めた事件でした。
今は、不正競争防止法という法律で、明文で禁止されているので訴訟にはなりにくいのですが、当時ドメインネームの使用を差し止めることはできるのかという議論がありまして、それについての初めての判決をいただいた事件です。一審が富山地裁、控訴審が名古屋高裁金沢支部で、いずれも使用差し止めを認めていただき、最高裁でもこれが認められました。
この訴訟の判決は判例雑誌に載り、今でも不正競争防止法の教科書で紹介されているだけではなく、当時、社会的な注目を集めて多くの新聞の一面に載りました。ただ、提訴から一審判決まで1年から1年半くらいかかった事件で、提訴した時は報道されることもなかったのですが、判決の時から盛り上がり、高裁では、記者さんに囲まれ、テレビカメラも入ったりして、やっている方がびっくりしました。このように、先駆的な判例をいただいたことと、期せずして社会的な注目を集めたという意味で印象に残っています。
もう1つは社会的な注目は集めていないのですが、生命保険の事件です。生命保険では、Aさんが契約者又は保険金受取人で、被保険者がBさんとしますと、当然ながらAさんがBさんを殺害してしまった場合保険金は出ません。
では、Aさんが個人の場合はわかりやすいのですが、会社の場合はどうでしょうか。A社の取締役がBさんを殺害してしまったら、あるいは取締役にはなっていないが、大株主のようにA社に影響力のある人がBさんを殺害してしまったらどうなるのか、どの範囲の人が殺害してしまったら保険金が出ないのかといったことが争われた事件で、私は北村晴男弁護士とともに保険会社の代理人を務めました。
一審、控訴審と敗けて最高裁でも結果としては敗訴してしまったのですが、最高裁の裁判官の1人はこちらの言い分を取ってくれました。社会的には全く報道されなかったのですが、保険法の分野では有名な事件で、特に印象に残っています。
仕事で嬉しかったこと
常時、依頼事件が何十件とありますので、例えばある事件で勝訴したり依頼者の意向に沿った和解が成立したとき、その一瞬は良かったなと思うのですが、すぐ他のやらなければならないことに意識がいってしまい、嬉しいという余韻に浸る余裕はありません。
大変だと感じること
例えば、先ほどご紹介した判例は依頼者が会社ですので、担当者の方と話をしながら事件を処理していきます。そして、通常、会社の担当者の方というのは、当該事案の法律的な問題点や訴訟の進行等についてよく理解されていますから、そういう方の場合はともかく、個人の方の場合ですと、法律だけでは割り切れない思いや感情というものがあります。
そこをどう説明をして納得していただくか、という部分で、法律を知っているだけでは不十分であると感じています。
先生が言うならいいよ、というように依頼者の方に信頼され、納得していただけるように人間的に成長していきたいと思っています。
休日の過ごし方
休日も仕事をしていることもありますし、たまには終日家で過ごすこともありますし、あとはゴルフをしたり、沖縄旅行や温泉に行ったりすることもありますが、最近は、同期の弁護士と山登りに行くことも結構あります。山登りといってもハイキングのようなもので、東京では高尾山や関西の方でも低い山に行ったりしています。
弁護士としての信条・ポリシー
手を抜かないということですね。被告事件ですと原告の主張に対してあらゆる角度から検討します。例えば不法行為に基づく損害賠償請求を起こされたとして、こちらが請求された側、すなわち被告だとします。
その場合、不法行為の要件である故意過失があったかどうか、損害がどうか、因果関係があるのか、過失相殺は出来るのかといった一個一個の要件を丁寧に検討するということです。
法律的な検討と、事実はどうなのか、証拠関係はどうなのか、という検討を丁寧にするということですね。
依頼者に対して気をつけていること
「ほう」、「れん」、「そう」ですね。すなわち、報告、連絡、相談を心がけています。調停や訴訟等の法的手続きに至っている案件というのは、必ず1か月に1回くらいの割合で期日がありますから、依頼者の方への報告を忘れるというようなことはありません。
ところが交渉案件で、例えば、相手方からお金を払えと言われ、こちらは支払う義務がないという回答を送りますと、相手方から連絡がこなくなるケースがあります。そうすると、そのような期間が長くなる場合には依頼者の方に、何も動きがなくても連絡をして、相手方から連絡がなければこのまま保留にしますといったような説明をします。
関心のある分野
取り扱っている事件はいわゆる一般民事が中心で、割合としては交通事故の案件が比較的多いかなという感じですが、もちろんそれ以外の民事事件、家事事件も取り扱っています。また、ドメイン事件も知的財産の事案だったのですが、知的財産権に興味を持っていまして、依頼案件の有無にかかわらず、継続的に勉強して研鑽に努めています。
今後の弁護士業界の動向
ここ数年、弁護士業界に最も大きなインパクトを与えているのは法曹人口の問題です。私が弁護士になったのは平成7年なのですが、その時は約1万5千人だった弁護士数が今は約3万人になっています。事件、仕事の全体数が今までと全く同じ状態であれば、単純に弁護士1人当たりの仕事量は2分の1になる計算になります。
そこで、弁護士もこれまでのやり方をただ続けるのではなく、仕事の幅を広げ、且つ、依頼者の目線に立って弁護士の方から依頼者にアプローチをする、というところが大事になってくると思います。
例えば、訴訟を起こしたい、とか、訴えられたという時に弁護士に相談する方は多いと思うのですが、それだけではなくて弁護士が皆様のお役に立てる場面というのはもっと色々あるますよ、ということを、そのような情報を必要としている方々に向けて発信していく必要があると思います。
今後のビジョン
立川近郊・多摩地区の法人、個人の方々より数多くのご相談、ご依頼を頂いており、この地区の法人、個人の方々の弁護士に対する期待、需要を日々感じております。今後とも、多摩地区の方々や立川近郊の方々に「頼りになる、信頼できる法律事務所」として当事務所の存在を認知して頂けるよう、精進していきたいと思っています。
ページを見ている方へのメッセージ
ある問題やトラブルが、法的な問題かどうか微妙なものもあり、結果として法的な問題ではないこともあるかもしれませんが、事案に応じた適切な対処をお示しすることはできます。何か困ったことがあれば、まずは一度弁護士にご相談していただければと思います。