

大川原 栄
東京スカイパーク法律事務所
東京都 豊島区西池袋1-7-8 関ビル10階「オープンハート」
「依頼者に学ぶ」
インタビュー
大川原 栄 弁護士 インタビュー

弁護士を目指したきっかけ
大学に入る時から弁護士になろうと思っていた人が多いと思うのですが、私は大学4年の時に将来どうしようかと考え、当時学生運動をしていたこともあって一般的な就職は難しいかなということもあり、自分一人の力でやっていけそうな仕事として弁護士に魅力を感じました。
また、周りに弁護士を目指す知人友人がいましたので弁護士になろうと思いました。当時考えていた弁護士という仕事のイメージは専門性を持った職業で、その専門性によってより社会に貢献出来るのではないかとも思いました。
印象に残っている案件(事件)
薬害エイズ事件ですね。弁護士になってすぐに関わった事件です。当時、HIVに感染した原告の人たちが社会の中で差別されながら訴訟に立ち上がり、最終的に勝利的和解で解決したという事件はすごく印象に残っています。裁判の立証の大変さ、裁判自体の大変さという意味でも印象に残っています。
当時は血液製剤という国の薬事行政の犠牲者だった人たちが差別されていたという二重の被害を被っていて、裁判をやってもなかなか自分達の地位の獲得が上手くいかなかったという状況でした。最終的には勝利的和解にはなったけれども、本当に裁判を通じて原告の人たちが救済されたのかというところでは、今も心に留めている事件です。
裁判というのは、弁護士からすれば判決なり和解があれば終わりなのですが、当事者からすると訴訟が終わったところで次の生活の出発点になって生活が続きます。弁護士が次の生活に責任を持つということはないのですが、果たして裁判の結果当事者がそれを受け止めて生きる手助けになったのかというところは、事件が終わっても頭の片隅に常に残っていることです。
仕事のなかで嬉しかったこと
ある普通の青年が渋谷を歩いていたところで、車に触れた触れないということで車を運転していた人から暴行を受け、頭からコンクリートに打ちつけられた結果、高次脳機能障害になり、労働能力の大半を失うという事件がありました。最終的には、裁判で和解をしたのですが、加害者は和解に基づき今でも損害金を払い続け、被害者のご家族は被害者の面倒を見ています。
毎年一回、年末にその年送金された和解金の一割が報酬として送金されてくるのですが、それが送金されてくると、訴訟と和解は終わったけれども当事者たちはそれを背負いながら今でも生きていると実感します。
このような事件は無数にあるはずです。わかりやすい例ですと、自己破産の手続きがあります。我々弁護士は代理人として裁判の手続をしていますが、その手続が終わると破産者はマイナスからゼロに戻ります。
その後にその破産手続をした方がどのような人生を歩んでいるのかは分からないことが多いのですが、何らかの機会にその方から「今頑張って仕事しています。」というような話があると、「彼はその後、ゼロから出発して頑張ったんだ。破産手続が役に立ったんだ。」と実感できる場合があります。弁護士として事件に関わったことが、依頼者のその後の人生にプラスに作用したと感じれるような時には、すごく嬉しいですね。
弁護士になって大変だと感じること
当事者は、自分の被害や置かれている状況というものをすごく重いものであると感じています。そういう人が相談に来た時に、弁護士はそれを整理して引き出すのですが、重い被害感情をもっていても、それを法律的に解決することが難しいものがあります。そういったことを、その当事者にきちんと理解してもらうということは、当事者が感情的になっていることから大変である場合も少なくないです。
また、法律論からなかなか勝つことが大変な事件もあります。勝ち筋が厳しい事件と言いますが、そういう事件につい如何に当事者が納得する形で進めていくかということが大変です。勝ち筋が厳しい事件であっても、社会的な意義のある事件を当事者と一緒に頑張ることもあるわけですが、現実にはかなり大変だということもあります。
休日の過ごし方
休日はゴルフの練習に行ったり、ちょっとした買い物をしたりということでリラックスして過ごすことがメインです。
弁護士としての信条・ポリシー
私の事務所のホームページにも書いていますが、「オープンハート」という形で依頼者と本音で話をして打ち合わせをしていくということですね。依頼者は裏切られたり虐げられたりしたということから、弁護士に対し自分に不利なことを言わなかったりすることも少なくありません。
そういう依頼者とどういう風に接していけば本当に真実・事実を明らかにしてもらえるのかということで、こちらの考えをオープンにすれば相手もオープンにしてくれるだろうということで「オープンハート」をモットーの一つにしています。
また、「依頼者に学ぶ」ということもあります。弁護士というのは法律というツールを専門的に使う仕事であるのですが、事実関係は弁護士はわかりません。それを依頼者にきちんと伝えて頂くと同時に、依頼者はそれまで生きてきた領域では専門家です。それぞれ長年仕事をしていれば専門家になりますので、そこについては専門家である依頼者に謙虚に教えてもらうということが大事だと思います。
依頼者に対して気をつけていること
仕事を全面的に請け負わないということです。依頼者と一緒に事件をやっていく、協同作業ということです。依頼者にやってもらえるものはきちんとやってもらうし、私は基本的に依頼者の都合がつく限りは裁判に全部来てもらうことにしています。
裁判手続が法廷でほんの数分で終わる場合もありますが、その時でも当事者席の横にいてもらいます。今日は数分の手続であったが、その手続の中でこういうことをしたということを依頼者に実感してもらいます。そして、次のためにこういうことが必要だからこういう準備をしてくれ、ということを常に一緒に可能な範囲で協同するということに気をつけています。
今後の弁護士業界の動向
弁護士が増える中で、弁護士が選ばれる時代に入っていくと思います。弁護士が増えていく中で若手の人数がどんどん増えています。他方で、若手の弁護士が増えるのと同じように、例えば若手の企業家、経営者が増えているかというと、今の時代の中で残念ながら若手の人達で弁護士増に見合うような新しい会社が出来る、あるいは新しい事業が起こってそこで若い人達が活躍するということが活発化していないように感じます。
若手の弁護士増に時代がマッチしていない状況にあると思います。私くらいの中堅以上の年代になると、同世代の経営者や色々な分野で頑張ってらっしゃる人がそれなりにいるわけであり、今の若手ほどの大変な思いはしていないのが実態だと思います。若手の人達は、中堅以上の弁護士が関わっているような状況を持つのが難しいのだと思います。
弁護士になって単にお金儲けをしたいのであれば他の業種に変えたほうがいいと思います。だから貧しくてもいいとは思いませんが、やはり自力で他の業界と同じように色々工夫しながら自分の信念・ポリシーを持ってクライアントと接していけばなんとかなるのではないかと思っています。
まだまだ未開拓の分野や弁護士の敷居が高いということで弁護士に依頼できていたい方も多数存在しているのも事実ですから、そういったところを是非若い人には克服してもらいたいと思います。
ページを見ている方へのメッセージ
弁護士は「先生」ではなく、みなさんが相談、依頼をするという意味ではみなさんが雇い主であって弁護士は雇われる方です。ですので、雇い主は雇われた弁護士に対して疑問をぶつけ、意見を言い、自分の希望を述べる。それに対して弁護士の考えをきちんと伝えてもらう。それで納得できなければ、その弁護士に拘らなくてもいいのです。そういった意味では「先生」と崇める必要はないし、弁護士の言っていることに納得出来なければ別の弁護士を探してもいいと思います。
私のところにも他の弁護士に頼んでいるけれどどうなのだろうとセカンドオピニオンを聞きにくる相談も少なくないのですが、共通していることは自分が依頼をしている雇い主であるのに、立場が逆転しているみたいだということです。
私はそういった人に必ず「あなたはお金を出して雇っているのだから自分の思っていること・疑問・私に質問したようなことを今頼んでいる弁護士にぶつけなさい、それで納得いかなかったらその弁護士とは合わなかったのだから次の弁護士を探したらどうですか」ということを助言するのですが、そうするとみなさんは納得されます。弁護士は専門家ではあるけれど、特段「先生」と言われるほど偉いわけではないということです。
取扱分野
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借金・債務整理
依頼内容
- 自己破産
- 過払い金請求
- ヤミ金対応
- 任意整理
- 個人再生
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交通事故
事件内容
- 死亡事故
- 物損事故
- 人身事故
争点
- 後遺障害等級認定
- 過失割合
- 慰謝料・損害賠償
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離婚・男女問題
原因
- 不倫・浮気
- 別居
- 性格の不一致
- DV・暴力
- セックスレス
- モラハラ
- 生活費を入れない
- 借金・浪費
- 飲酒・アルコール中毒
- 親族関係
請求内容
- 財産分与
- 養育費
- 親権
- 婚姻費用
- 慰謝料
- 離婚請求
- 離婚回避
- 面会交流
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遺産相続
請求内容
- 遺言
- 相続放棄
- 相続人調査
- 遺産分割
- 遺留分侵害額請求(遺留分減殺請求)
- 相続登記・名義変更
- 成年後見
- 財産目録・調査
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労働問題
原因
- パワハラ・セクハラ
- 給料・残業代請求
- 労働条件・人事異動
- 不当解雇
- 労災認定
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債権回収
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医療問題
依頼内容
- 医療過誤
- B型肝炎
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詐欺被害・消費者被害
原因
- 金融・投資詐欺
- 訪問販売
- ワンクリック詐欺・架空請求
- 競馬・情報商材詐欺
- ぼったくり被害
- 霊感商法
- 出会い系詐欺
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犯罪・刑事事件
タイプ
- 加害者
事件内容
- 児童買春・児童ポルノ
- 詐欺
- 痴漢
- 盗撮
- 強制性交(強姦)・わいせつ
- 暴行・傷害
- 窃盗・万引き
- 強盗
- 横領
- 交通犯罪
- 覚せい剤・大麻・麻薬
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不動産・建築
賃貸トラブル
- 賃料・家賃交渉
- 建物明け渡し・立ち退き
- 借地権
売買トラブル
- 欠陥住宅
- 任意売却
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企業法務・顧問弁護士
依頼内容
- M&A・事業承継
- 人事・労務
- 倒産・事業再生
業種別
- エンタテインメント
- 医療・ヘルスケア
- IT・通信
- 金融
- 人材・教育
- 環境・エネルギー
- 運送・貿易
- 飲食・FC関連
- 製造・販売
- 不動産・建設
自己紹介
万人に受ける必要はないと思っております。
依頼者の意向を尊重しつつも、弁護士として信念を持って対応する中で、依頼者とは事件での協同作業を通じ、事件を超えた人間関係が形成できれば嬉しいとも思っています。
- 所属弁護士会
- 第二東京弁護士会
- 弁護士登録年
- 1992年
経歴・技能
学歴
- 福島県立会津高校
- 中央大学法学部
活動履歴
著書・論文
- 中小企業の経営実務ハンドブック(旬報社)
メディア掲載履歴
- 行列のできる恋愛裁判所(DVD全3巻)監修
- 2011年 7月
- 「弁護士列伝」掲載記事 http://blog.livedoor.jp/bengoshiretsuden/archives/51278458.html
大川原 栄弁護士の法律相談回答一覧
初めて相談させて頂きます。 会社で、営業代行の外注を依頼したのですが、 2011年6月に依頼をし、10月に契約を交わしました。 契約書には、『半年間以上契約をして頂かないと成果が出ない』という風に書かれていましたので、初回は半年間契約でその都度更新の予定でした。 しかし、最初の2ヶ月は請求書が届き...
返金請求の可否については、契約条項の検討が必要になります。しかし、月次の営業報告書の提出もないということであれば、返金請求は可能と考えられます。 但し、相手と連絡もとれない状況ということであれば、裁判で勝っても現実の回収は困難と予想されますので、このことを前提に今後どうするのかを考えるべきだと思います。

今回初めて質問させて頂きます。取引先に納品した冷凍食品に冷凍焼けクレームがあり 取引先社長からお叱りの連絡がありました。弊社担当者が使用した商品は購入頂き 使用していない商品は引取らせて頂き返品処理をさせて頂きたいと告げました。するとこの社長はクレームの商品だから販売した先がすべて廃棄したの...
まず契約書において、クレーム商品の取扱についてどのように規定されているかが大事です。 取引先の一方的判断でクレーム商品として処理できるのか、その際に一方的に廃棄(破棄)できるのかが問題になります。契約書に規定がない場合、商慣習でどうなっているのかということになります。 契約書あるいは商慣習において、クレーム内容の確認ができないということであれば売...

今年3月に前職を退職し、4月から現職についております。 退職の際、取引先であった会社に転職する旨を伝え、転職先でその会社の仕事を引き継ぎたいと伝え、了承を得ました。 先日その得意先に伺い、見積もりも提出し、ほぼ受注の見込みです。 売上規模は1,000万円程度、粗利率は社内人件費を除いて80%...
かなり難しい問題です。 前会社に出した誓約書が全く効力を有しないということはないと思います。 競業規制と職業選択の自由の限界事例であり、競業が問題になっている職種や企業規模、営業エリア等が個別具体的に判断されることになると思います。また、受注の前提となった見積りの基礎データ等の入手先も問題になります。そのデータが一般的に存在するものではなく、前会社で...

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※お問い合わせの際は「弁護士ドットコムを見た」とお伝えいただければ幸いです。