池田 一二奈 弁護士 インタビュー
弁護士を目指したきっかけ
私が大学2年の時、両親が離婚をしました。母は商売をしていたこともあり、子供ながらにしっかりとした女性だと感じていましたが、なかなか離婚については上手く進みませんでした。
最終的には弁護士にお願いし、裁判にまでなって、なんとか離婚が成立しました。その時、単純に「弁護士の力って凄い」と感じたことが弁護士を目指すきっかけとなりました。
もともと女性でも活躍できる世界で仕事がしたいという思いがありました。漠然としたイメージで法律系の分野は強いだろうという思いで法学部に入学したものの、特に法曹界を目指していた訳ではなかったので、身近なところで弁護士の仕事を見させていただいたことはよい経験になったと思います。
印象に残っている事例
弁護士登録後に勤務していた事務所では企業が依頼者となる仕事が多く、とても良い経験をさせてもらったのですが、より強く印象に残っている事件は個人の方から依頼された事件です。
特に離婚の案件は依頼者の方と深く関わるので、一つ一つ詳細に覚えています。依頼者の方のその後の人生に大きな影響を及ぼすことになりますので、どの事件もその方の立場にたって一緒に悩み、共に戦った仲間のように感じることがあります。依頼者の中には解決した後も近況を報告して下さる方もいらっしゃって、幸せになっておられるととても嬉しいです。
受験時代に苦労したことや工夫したこと
モチベーションを維持することが一番大変でした。受験勉強を始めるのが遅かったこともあり約9年間勉強をしましたが、当初は受験勉強から逃げてばかりで、本当に集中して勉強ができたのは合格する直前の3年間程だったと思います。
記憶力や文章力といった能力以前に「本気で弁護士になりたいのか」「どんな弁護士になりたいのか」ということを真剣に考え抜いて、精神力や忍耐力をつけて受験から逃げずに真正面から勉強に向き合うまでにずいぶんと時間がかかりました。
また、工夫したことといえば規則正しい生活を送ることだと思います。予備校に通っており朝から夜まで勉強していましたが、早寝早起きをして朝ご飯をしっかり食べることは大切だと思います。そして自習室が閉まっている時などの空いた時間を上手く使いながら息抜きをしていました。
仕事の中で大変だと感じること
依頼者の方はそれぞれ深刻な悩みを抱えて相談に来られますので、「こうしたらどうなりますか」「これで勝てますか」など将来の見通しについての意見を求められることが多いです。
専門家として意見を求められるのは当然ですし、誰しも自分の望み通りの意見を聞きたいという気持ちがあると思います。しかし、どんな案件でも最後まで何があるか、誰にもわかりませんし、弁護士としては最悪の事態を想定しておかないと、取り返しのつかないことになる場合もあります。
依頼者の方の気持ちに沿った対応をしながらも、プロとして楽観的なことは言えない、そこの兼ね合いが難しいと感じます。今までの経験などを踏まえ、できる限り私なりの見解をお答えするようにしています。
休日の過ごし方
独立してからは、仕事とプライベートの時間のバランスをとり、心身ともに健康な状態を保つようにしています。私がストレスで倒れてしまったら、私を頼っている依頼者様にご迷惑をおかけするので、特にメンタル面での休息はしっかりとるようにしています。
弁護士としての信条・ポリシー
紛争の当事者になった方にはそれぞれに言い分があり、人の数だけ正義があると思います。 私個人の見解にとらわれずに、その方の正義に耳を傾けることを心がけています。
依頼者に対して気を付けていること
依頼者の方は悩みを抱え暗い気持ちで来られると思いますので、なるべく暗い雰囲気を作らないようにしています。
離婚の相談が多いこともあり、中には泣き出してしまう方もいて、私ももらい泣きしそうになる時もありますが、一緒になって沈んでいては始まりません。私に相談して少しでも気が楽になって帰ってもらえるよう、明るく接するよう心がけています。
女性として弁護士の仕事で感じていること
弁護士の仕事は片手間にできるものではないので、家庭と仕事の両立は本当に難しいと感じています。
弁護士になる前は「資格があるのだし育児の間は仕事を休もう」という考えもありましたが、実際に弁護士になってみると子供ができたからといって、仕事を休むことなどできず、また、休んでいる間に弁護士としての勘も鈍り、復帰できなくなってしまうのではないかといった不安も大きく、完全に休むことは難しいと感じるようになりました。
勤務弁護士時代は、初めての経験ばかりで、弁護士としての仕事を辛く感じることもありましたが、今は、仕事に大変なやりがいを感じています。弁護士としての経験と結婚や出産という女性としての経験のすべてが、今の仕事に生かされていると思います。
弁護士の仕事は非常に責任が重い仕事ですし、妻や母親といった役割も果たさなければならない女性にとっては大変かもしれませんが、環境が上手く整えば本当に素晴らしい仕事だと実感しています。
弁護士として最も必要とされる力
法律に基づいて法的紛争を解決することが仕事ですが、結局は人と人とのつながりが一番大事なことであり、また基本的なことだと思いますので、コミュニケーション能力は欠かせないと思います。
どのような分野の仕事をするかによって必要とされる能力も変わってくるかと思いますが、私は離婚問題など個人の方と接することが多いので、この分野では特に必要な力だと感じます。
依頼者や相談者が考えていることをどれだけ理解できるか、どれだけ気持ちに寄り添えるか、また難しい理屈や制度をどれだけ理解してもらえるかは大事なことだと感じます。弁護士の前では緊張してなかなか言いたいことも言えず、聞きたいことも聞けない方もいますので、相談者の気持ちを察しながらできるだけ難しい言葉は避け、噛み砕いて伝えるようにしています。
ページを見ている方へのメッセージ
弁護士は敷居が高いと思われる人もいると思います。中にはわざと敷居を上げている弁護士もいるかと思いますが、私は出来るだけ敷居を低くしようと思っています。
私が弁護士になれたのは、私一人の力ではありませんし、実際に、私を含め多くの弁護士が税金でお給料を貰って修習を行い弁護士になりました。ですから弁護士は‘社会の資源’なのだと考えています。
弁護士の資格は社会のために使われてこそのものだと思います。特定の依頼者のものではありませんし、弁護士がお金儲けをするためのものでもありません。ためらうことなく困った時は是非弁護士に相談してみてください。使ってみればメリットがわかると思います。