石井 逸郎 弁護士 インタビュー
弁護士を目指した理由
高校生の時に憧れた弁護士がいました。大阪の衆議院議員で正森成二さんという方で、この方は元々弁護士でもあり、国会での論戦力、金権腐敗に対する追及能力が素晴らしく、憧れたのです。
当時の私は、弁護士だからこそあのような言論能力、論戦能力があり、かっこいい活動ができるのだなと思いました。後から考えると正森成二さんに憧れを抱いたことが弁護士を目指す元々のきっかけなのだと思います。
印象に残っている事例
以前手がけた裁判員裁判です。事件はある都内のラーメン店で、ちょっとしたいざこざから中国人の被告人が店長を階段から転落させ、店長が後頭部を強く打って死んでしまうという傷害致死事件でした。
私は被告人の弁護人となり裁判員裁判で争いました。店長の階段からの転落と被告人の暴行との因果関係を争うという難しい事件でしたが、裁判員の方にも事件の経緯について冷静に判断していただき、因果関係はなく被告人は暴行罪にとどまるという結果になりました。
私にとって初めての裁判員裁判でこれだけの成功を収めることができ、また第二東京弁護士会の裁判員裁判実施推進センターという委員会の先生方の援助もあり、レベルの高い裁判員裁判ができました。
職業裁判官と単純に比較することは出来ないですが、因果関係というのは市民目線、社会通念から見て被告人に責任を負わせるのが妥当かどうかという議論でもあったはずで、そういう意味では裁判員裁判に相応しい事件だったと思います。
検事も私(弁護人)も一生懸命主張、立証をし、それを市民の皆さんが一生懸命審理されている姿は素晴らしいと思いましたし、日本の民主主義の成熟と新しい司法の姿を感じました。そういった意味でとても印象に残っていますね。
仕事で嬉しかったこと
どんな仕事であってもクライアントのために役に立った瞬間です。少しでもクライアントのために物事を前向きな方向に進めることができれば嬉しいですね。
大変だと感じること
弁護士になって数年は勉強をすることなど大変だと思うことがあったと思うのですが、最近では大変だと感じることはなくなりました。大変だと感じるというのはむしろ余裕があるからなのだと思います。一つ一つの案件日々真剣に考えていると、大変だと感じる余裕がないのです。
休日の過ごし方
コーラス教室に通ったり、読書をしたりして過ごしています。法律関係のこと以外のことをするように心掛けております。
弁護士としての信条
徹底的に依頼者のために最善を尽くすことだと思います。例えば先ほど述べた裁判員裁判も、弁護士によっては争うのをあきらめ、被害者家族と示談をして執行猶予を取りに行くという方針の弁護士もいたかもしれません。
何が依頼者にとって最善かというのは事件の見通しや依頼者の意向等によるのですが、私は常に依頼者のために最善を尽くしたいと考えています。簡単に諦めないということがポリシーなのでしょうね。
依頼者に対して心がけていること
なるべく依頼者が話しやすい状況を作ることを心掛けています。弁護士に対して身構えてしまう人がまだまだ多いと思います。
依頼者と弁護士と共同作業で物事に当たっていくということを心がけています。私は依頼者に様々な情報提供をして情報を共有し、依頼者は隠し事をせず語ってもらい、情報を共有する中で最善の方向を探っていくという関係性に気をつけています。
悩みを抱える方へのメッセージ
今の社会は、法律に基づいて成り立っていて、どんな問題も法律に関わるので、法的リスクというのはビジネスのみならず、実はいたるところにあるわけです。そういった意味ではもっともっと弁護士が身近なところでサポートできるような存在にならなければならないと思います。
また、市民の皆さんも司法や弁護士に関心を持っていただいて、弁護士をこの社会を生きていく上での一つのツール・オプションなのだと思っていただきたいと思っています。