大胡田 誠 弁護士 インタビュー
弁護士を目指した理由
私は、生まれつき目が不自由で、弱視でした。そして、小学校6年の頃から、病気が進行し全盲となりました。ですから、中学に入った直後は自暴自棄にもなりました。
しかし、そんな時、読書感想文で読んだ「ぶつかって、ぶつかって。」という本に出会ったのがきっかけとなりました。この本の著者は私と同様、目に障害を抱えた竹下義樹という弁護士の方で、日本で初めて点字による司法試験に合格した方でした。この本を読んで、目が不自由でも弁護士に成れると知り、希望を持つことができました。
当時の私ですら、司法試験は最難関の試験であるということは、何となく分かっていましたが、自分も弁護士になろうと強く思いました。
仕事で嬉しかったこと
弁護士になる前は、目の見えない弁護士だから、他の方に変えてくれと言われるのではないかと思い、不安でした。しかし、幸いにも事件が解決した際に、「障害と闘いながら頑張っている先生を見て、自分も頑張ろうと思いました。勇気をもらえました」というお言葉を依頼者の方からいただけて、とても嬉しく思いました。
この仕事は辛いこともありますが、それは言い換えれば依頼者の方のための辛さや努力であるので、振り返って、冷静に考えてみると、日々嬉しさを実感する仕事なのだと思います。
大変だと感じること
一般に目に障害を持っておられる方は、読む、書く、移動する、ということが大変だと言われていますが、確かにそういった部分での大変さはありますね。
弁護士という仕事の特性上、資料を探したり、書面を読んだりすることが難しいです。スキャナで電子データ・テキストデータに返還し、音声変換して読むという、ワンクッションを置かねばなりませんから。
休日の過ごし方
マラソンが好きなので、土日のうちの一日は走るようにしています。走り始めてもう3年になるので15キロ~20キロは走って、体力づくりに励んでいます。
後は、仕事柄、睡眠不足になりがちなので、しっかりとした睡眠を取っています。
弁護士としての信条
一つは事前の準備を怠らないということです。相手と交渉する際には、将棋の騎士が何手も先を読むように、私もパターンを先読みして交渉に臨むようにしています。相談の際にも、事前に要点を聞き取っておいて、相談に乗るということを常に心がけています。
もう一つは、事件の着手を早くするということです。やはり、一旦脇に置いてしまうとズルズルと先延ばしにしてしまうものなので、訴状の頭出しや、見出しだけでも作ってしまうだけでも、違いますね。
ロースクール時代の先生に「着手8割」という教えをいただきましたが、本当にその通りで、着手さえしてしまえば段々と形になります。「0」のものを「1」にするエネルギーはとても大きく、労力を使うものなので、事件に早く着手するということは、とても大切だと思います。
依頼者に対して心がけていること
依頼者の方のお話を、きちんと共感を持って聞くということです。破産したり、刑事被告人になった経験はありませんし、依頼者の方と同じ立場に立つということはできませんが、誰しもが持っている感覚で理解しようと努めています。
また、それと相反するようですが、依頼者の方に流されすぎず、事件を客観的に見るという、プロとしてのクールな一面も同時に持ち合わせていないといけません。その両方のバランスが難しいところではあります。
本当にご苦労されてかわいそうだなと思ってしまう方も来られますので、プロ意識と温かい気持ちの両方を常にもっていようと心がけています。
特に関心のある分野
自分が障害を持っているということもあり、労働法の分野には関心があります。障害の有無に関わらず、誰しもが社会の中で尊厳をもって生活できる人生を送るためには、労働というのは重要なファクターであると思うのです。
また、障害者に対する差別を禁止する立法活動やロビー活動もしております。
悩みを抱える方へのメッセージ
もうだめだと思っても、必ずどこかに道はあるものです。ですから、借金やトラブルに巻き込まれても、見方を変えれば、何とかなることもあります。しかし、お1人で悩まれていると、それに気づくことができないと思います。そんな時に、良い相談役として、弁護士を使ってみてはいかがでしょうか。諦めずに弁護士に相談してみてください。