常盤 政幸 弁護士 インタビュー
弁護士を目指したきっかけ
中学生時代に身内が交通事故に逢い、その時初めて弁護士の方に会いました。中学生ながら弁護士という職業についてある種のイメージが出来上がりました。しかしその後企業法務専門の弁護士の先生にお会いして、前記の弁護士の方とはまた違う印象を受けました。同じ「弁護士」という職業でも事件の見方が異なり、事件処理の方法が多種多様であるということに魅力を感じました。
また、交通事故の被害者だけでなく、公害の被害者のように一方的に被害にあった多数の人を助けることが可能であることにも魅力を感じました。
印象に残っている案件(事件)
リースに関係する事件が印象に残っています。例えば、車両の引渡請求訴訟において、被告から、本店所在地に違う会社が入っていた上、代表者の住所地に人が住んだ形跡がないにもかかわらず、再リースの和解を申し入れられて閉口したこと、また、大型機械のリース物件の占有移転禁止の仮処分(債権者保管)の執行のため、10tトラックを3台呼んで、1日がかりで搬出するという事件もありました。寒い中でずっと立ち会っていなければいけなかったので印象に残っていますね。
他には、リースではないですが、個別の供給契約書が存在しない車両の継続的供給契約の相手方経営者が交代して、その契約の存在を否認されたときに契約の存在の証明に工夫したことや、その間の相手方弁護士の手のひらを返したような対応も印象に残っています。事件によって様々な工夫をする必要性がありますし、そこが「やりがい」でもあります。
仕事の中で嬉しかったこと
多くの弁護士に共通するところだとは思いますが、事件が解決して依頼者を「ありがとう」と感謝の気持ちを頂けることです。想定してないところでうまく解決することや、逆にこじれてしまうこともままあります。想定外の事態を乗り切って解決できると、弁護士業独自の達成感を感じることができます。
弁護士になって大変だなと感じること
肉体的な大変さですと、一定時期に仕事が集中するところです。事件処理の種類や量、また依頼者の要望等々様々な要因で、一定の時期に仕事が集中することがあります。その時は肉体的に大変に感じます。
また精神的な大変さですと、目配りを広く持つところです。依頼者と一緒に紛争に立ち向かうわけですが、その解決方法や解決にかかる時間によっては、大当初、想定した解決策とおりに事件処理が進まず、その時間の経過から会社の存続が危ぶまれる事態になる危険も考慮しなければなりません。
そうした当該事件自体の解決の予測とその解決にあたり起こり得るその他の問題点全体を見渡して判断していかなければならないという広い目配りを持つことは精神的に大変なところです。
学生時代
民事訴訟法のゼミ活動に熱心に取り組んでいました。多くのゼミでは最新の学説を扱うことが多いと思いますが、私の所属したゼミでは、そもそもその論争がどこを根として現れたものなのかについて検討をすることも多く、その観点から古典的な学説にも深く取り組んでいました。
弁護士としての信条・ポリシー
依頼者が何をしたいのかをきちんと把握し、依頼者の望む形で法的処理を行うことです。もっとも、依頼者の方の中には、望む解決方法と法的な解決方法とが一致しないもあります。その場合は解決策として選択できる法的な解決方法を提示し、依頼者の方には、許された法的解決方法の中で、何が最も満足がいくものなのかを考えていただく必要があります。依頼者にとって何が最大の利益なのかを一緒に考え、処理を行っていきたいと思っています。
関心のある分野
私は不動産関係の事件に当たることが多いので、普通は不動産関係ですと登記関係、建物の利用や明渡、相続等が関わることが多いです。しかし、最近は、国民の権利意識が強くなったこと、またインターネットによる情報利用が容易になったことから、単なる不動産案件がネットに出す広告の権利侵害問題と関係していることもあります。
また、会社を分割して土地を別会社に所有させようとして社員の人事異動をすると労働問題と関係したりします。そうすると、不動産関係の事件だけのはずが、実は、一般法務事件にまで関係するようになってきます。最近ですと、模倣品を競争相手に販売されて、経営が悪化したので何とかして欲しい、という問題に関わることもあります。そこで、不正競争防止法や著作権法も含め、関連する法律の改正法にも目配りしています。
今後の弁護士業界の動向
今までは弁護士業の業務範囲となっていた国民経済のパイは、低成長と言われながらも拡大傾向にあったといえましょう。しかしこの不況の中、我々一般民事弁護士は国内におけるニーズの変化にどう対応するかが大きな課題となります。
以前は、弁護士は、ある紛争事件についてその事件だけを単発的に解決すれば済むことが往々にしてありましたが、前の質問について述べましたように、一つの事件から様々な法的問題が発生するようになりましたので、その解決まで見越した事件処理を提案していかなければならないと思っています。
そして、そうした事件処理には、他に税理士や司法書士などの他業種の先生方と協働して事件にあたる必要があると思っています。そうした他業種の連携した事件処理ないしサービスの提案をしている方向に進んでいくように思います。
今後のビジョン
前述の通りですが他業種の方々とチームを組んで事件を解決していくことが必要であると感じています。法的処理の後に他に様々な問題(税務処理など)が発生することがしばしば起こり得ます。法的処理は、会社がビジネスを成功させる上での選択肢の一つであって、企業戦略のバランスの中で何が合理的で、かつ、効率的な解決であるかを依頼者と一緒に考えることが大切です。
また、法改正などもすさまじい速さで行われていくので、依頼者のニーズに応えられるよう弁護士としても、日々、法律知識のアップデートを心がけていきたいと思っています。
ページを見ている方へのメッセージ
弁護士は、お医者さんと違って一般の方には未だ遠い存在と思います。一生のうちで弁護士に会わない人がほとんどでしょう。しかし、最近は、裁判事件の報道も日常茶飯事となり、裁判員制度の導入もあって、以前よりは裁判所や弁護士の存在は身近になってきたのではないかと思います。
弁護士は全く違う世界の人ではなく、皆さんと同じ社会の一員として、依頼者と一緒に紛争解決をめざしている業種の人と思っていただければ幸いです。