不動産・建築の解決事例
  • 建物明け渡し・立ち退き

約300万円の原状回復費用を請求されたが、約9割の減額を勝ち取り、追加の支払いはゼロに。逆に遅延損害金を含め約20万円の敷金返還を命じる判決を得た事例

60代 男性
この事例の依頼主 60代 男性

相談前の状況 10年以上住んだ賃貸マンションを退去した後、家主側から、全室のクロス(壁紙)の張り替えやフローリングへの変更、エアコン・洗面台の交換などの工事費用として、約300万円の「原状回復費用」(借主が退去時に部屋を元の状態に戻すための費用)を請求されました。

裁判の前には、家主側から、敷金を返還しないことに加え、ご相談者に約60万円の支払いを求める内容の和解案も示されましたが、ご相談者がこれを断ったところ、家主側は、ご相談者を相手に裁判を起こしました。

たばこのヤニ汚れなど、ご自身に原因がある汚れには一定の負担もやむを得ないと考えていたものの、長年の使用による劣化まで負担しなければならないのか疑問に思い、ご相談に来られました。

解決への流れ ご相談者の代理人として、退去時の写真と工事の請求書を工事項目ごとに照らし合わせ、①普通に生活していて生じる汚れや年数の経過による劣化は借主の負担ではないこと、②借主に原因がある汚れでも、耐用年数を超えて使われた設備は価値がほとんど残っていないこと、③フローリングへの変更などは次の入居者のためのグレードアップであり、原状回復には当たらないことを主張しました。あわせて、敷金の返還を求める反訴(こちらから訴え返す手続)も起こしました。

その結果、原状回復費用を約300万円から約30万円へと、約9割減額させることに成功しました。ヤニ汚れのあった壁紙やエアコンについても、耐用年数を超えていたことから、負担額を1円に抑えることができました。

この金額は敷金の範囲内に収まるため、家主側の請求を全て退け、反対に、敷金の残りに遅延損害金(支払いが遅れた分の利息に当たるもの)を加えた約20万円を返還させる判決を勝ち取りました。家主側は最高裁まで争いましたが、いずれも退けられ、判決が確定しました。

髙田 英治 弁護士 髙田 英治 弁護士からのコメント 退去時の原状回復費用をめぐるトラブルは少なくありません。法律上、普通に生活していて生じる汚れや年数の経過による劣化は、借主が元に戻す必要はなく(民法621条)、借主に原因がある汚れでも、設備の使用年数に応じて負担額を減らすのが一般的な考え方です(国土交通省のガイドライン)。本件のように長く住んでいた場合には、請求額が大きく減ることもあります。

もっとも、たばこのヤニ汚れなど借主に原因がある汚れは、法律上、借主が負担するのが原則です。そのため、全てを否定するのではなく、その部分は認めたうえで「その金額は妥当か」を争う方が、裁判所に主張を受け入れてもらいやすくなります。

本件でも、ヤニ汚れの責任は認めつつ、耐用年数を過ぎた壁紙やエアコンの価値はほとんど残っていないと主張したことで、負担額を1円に抑えることができました。家主側の請求書や和解案をそのまま受け入れる前に、契約書や退去時の写真などをお手元に残して、お早めにご相談ください。

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