鈴木 敏彦 弁護士 インタビュー
弁護士を目指したきっかけ
私は、24年間検事をした後、明治学院大学のロースクールの教授になり、刑法、刑事訴訟法、刑事実務を教えるようになったのですが、刑事実務を実際にやらないで刑事実務を教えることはできないと考えて、弁護士登録をしました。
また、検事時代に税務、知的財産、交通関係事件等に携わった際、民事的観点から適正なアドバイスを受けていれば、刑事事件にならなかったり、刑事事件になったとしても軽く済んだのではないのだろうかと感じる事件が相当数ありました。
当時は立場上、民事的な意見を述べることはできないので、「弁護士に相談した方がいいよ」などと言う程度でしたが、今後は、その知識・経験を生かして、民事も含めた法的アドバイスをしていきたいと思っております。
印象に残っている案件(事件)
意外と、学者が注目するような有名な事件は印象に残らないものです。私が一番印象に残った事件は、検事になって2年目のまだ駆け出しの頃に扱った傷害致死の事件です。
その事件とは、孤児院から引き取って3ヶ月のうちに子どもを父親が虐待して死亡させた事件ですが、父親自身はその子どもは、浮気してできた子だと思っており、母親は、自分の子どもの死よりも、夫が逮捕されたことを心配していました。
つまり、この子の死に対して悲しむ人は誰もいませんでした。この事件は衝撃的でしたし、立証の段階でも行為の前日に階段から転落したという事実もあり、虐待と死亡との因果関係の立証が困難であったため、特に印象に残っています。
仕事の中で嬉しかったこと
1つ目は、過剰防衛の事件で有名な最高裁判決があるのですが(最決平20.6.25)、その控訴審に携わることができました。この事件は、第一暴行と第二暴行を分断して過剰結果を判断したということで、学者の間では大変議論になった事件です。
なぜなら、従来の判例では量的過剰の場合には、防衛行為と追撃行為とが一連・一体の行為と評価できる場合について、全体として防衛の程度を超えたものかどうかが過剰防衛と判断できるのかの基準であったからです。
もっとも、翌年、私が上告審弁護人をつとめた最高裁決定(最決平21.2.24)では、また従来通り、防衛行為と追撃行為との全体を考察して、過剰防衛となるのか否かの判断をする旨の判決が出てしまいましたが、こういった、判決の矛盾やそこから付随する学者の論争などは、弁護士が主張しなければ生まれないものなので、大変有意義であったと思います。
その結果私が携わった事件では、一応正当防衛が成立し、傷害致死が傷害に減軽されたわけですから、嬉しかったです。
2つ目は、私達弁護士にとっては普通のことをやっているつもりでも、依頼者の方から感謝の気持ちが伝わることです。例えば、刑事裁判の際、残念ながら量刑を変えることができなかったとしても、一生懸命にやっていれば、お礼の言葉や、お手紙を頂くこともあるのです。依頼者の方からこうやって感謝の言葉を頂けるというのはとても嬉しく思います。
弁護士になって大変だと感じること
言葉は悪いですが、私のような否認事件を中心に仕事をしている弁護士は、変わった被告人の方の弁護をすることが多いです。そのため、心の中では何故このような人の弁護をしなければならないのかと思うことさえあります。
しかし、それでは不平等ですし、弁護士として、可能な主張はきちんとするという責務もあります。そういった、両者の葛藤は常にあるので、大変だなと感じることはあります。
弁護士としての信条・ポリシー
被告人、クライアントの方々の利益になるよう常に心がけております。
依頼者に対して気をつけていること
一言で言えば「接見を多くする」ことです。刑事事件の場合、被疑者・被告人は相談相手が取調を担当した刑事ということが多いのです。なぜなら、被疑者・被告人は捕まってから、一番長い時間を刑事と過ごしているため、ある程度心を開いているからなのです。そのため、私達弁護士としては、先ず刑事よりも信頼される必要があるのです。
たまにしか来ない弁護士を被疑者・被告人が信頼するはずが無いので、なるべく接見を多くして、信頼関係を築いていくことがとても大切になると思います。
関心のある分野
関心がある分野というよりも、一弁護士の仕事として法解釈が誤ったものを正したいという気持ちが強いですね。
例えば、1審判決が、包括一罪とすべきところを併合罪とした事案について、罪数判断の誤りを指摘して高裁が破棄した事案があったのですが、このような1審の誤りについては、従来、高裁が当事者の主張と無関係に職権で判断することが多かったと思います。
しかし、弁護士は、法律家なのだから裁判所の職権判断を期待しないで、法解釈の誤りを弁護士側の主張から少しでも正していきたいと思っています。
また、未だ誰も議論していない事件、論点になっていない事件は世の中にたくさんあるはずです。そういった事件には特に興味があります。
今後の弁護士業界の動向
思うに、そもそもの目論見とは違ったかなとは思います。日本は弁護士が少ないと言われていますが、アメリカとは異なり、日本では、司法書士や弁理士といった準法曹的な職業はは数に含めていないですし、国家公務員にも多くの弁護士がなっていますので、弁護士を無闇に増員する必要はないと思います。
しかし、弁護士のニーズ自体は意外にもあると思います。というのは、弁護士に聞けば簡単に分かるのに誰にも聞いていない人は驚くほど多いのです。特に、地方の弁護士の人手は足りていないのは問題ですし、今後は地方にも弁護士が増えてくれればいいのではと思います。
今後のビジョン
私は、週3日大学院で刑事実務を教え、その他の時間は弁護士業に充てていますので、今後もこのまま両方を両立してやっていけたらなと思います。
実務の方では、教材になりそうな事件や、ロースクールの試験問題になりそうな事件などを積極的に扱っていきたいと思います。
ページを見ている方へのメッセージ
当事務所(弁護士法人霞門法律事務所)には現在7名の弁護士が在籍しておりますので、ほぼ全ての事件に対応できるかと思います。ですので、お困りの際には、是非とも当事務所におこし頂き、弁護士に相談していただけたらなと思います。