武井 由起子 弁護士 インタビュー
弁護士を目指したきっかけ
私はそれまで某総合商社で総合職として14年程度勤務していました。アジア危機のさなか、アジアの債権回収に奔走し、会社員は一生分やったと思い(笑)、新しいチャレンジを探していました。
以前、自分が家事関係で事件の当事者となり、弁護士にお世話になった経験を思い出し、弁護士は困っている人や社会を良くするためのお手伝いができるいい仕事だと思って、転身を決意しました。
仕事の中で嬉しかったこと
民事、刑事を問わず、依頼者の方に喜んで頂けることです。お子さんのために訴訟をしていた依頼者の方から、書いた準備書面を何回も読んだ、こうやって訴訟してきたことは「○○(家)の宝」になっていると言って頂いたときには、本当に嬉しかったです。
弁護士になって大変だと感じること
長らく会社組織に所属していたので、何もかも1人で責任を取っていくというところは、本当に大変なことだと思います。
その分、自由というメリットはあります。例えば、私は小さな子どもがいるので、やるべき仕事が締め切りに間に合えば時間を自由に使えています。
仕事をする上で意識していること
私は、弁護士業は、法や裁判手続を媒介として、困難に直面している方の気持ちに寄り添う仕事だと思っています。あとは、弁護士は敷居が高いと思われがちなので、親しみやすい雰囲気を心がけています(これについては、ほぼ努力はゼロですが(笑))。
弁護士が偉いなどと思って遠慮したりしないで、聞きたいことを聞いたり、言いたいことがあれば言っていただきたいと思っています。
関心のある分野
私は、かねてから、個人とシステムの関係に興味を持ってきました。システムは当初は個人の事業を発展させたり、利益を得るような個人のためのものです。システムと個人の関係がうまくいかないとそれが自己増殖して個人に向かっていきます。
例えば、一従業員とそれにモラルハザードを起こさせてしまう組織、一国民と他の利益を追求する国家、あるいは一生徒といじめのある学校。分野で言えば、コンプライアンス、いじめ、離婚(そのシステムからの離脱に困難を伴う点で類似)、最近では、原発事故による広域避難者支援に関心があります。
このように、そのシステムから個人を守ることで、その一個人の持って生まれた素晴らしい資質をこの世で輝かせることのお手伝いができれば、私の生まれてきた意味があると思っています。
今後の弁護士業界の動向
弁護士は確実に増えていくでしょう。その中で、資格があるだけで収入が得られるということはなくなっていき、健全な競争が起こることが期待されます。また、司法サービスも行き届くようになると思われます。
一方で、コスト競争となってしまい、より多くの仕事をしなければならなくなった結果、余裕がなくなりすぎて、これまで社会正義のため、手弁当でやっていたような仕事ができなくなってしまうおそれもあります。難しい問題ですね。
(2011年10月インタビュー実施)