原田 拓歩 弁護士 インタビュー
弁護士を目指した理由
私はそもそも法学部出身ではなく理工学部出身でした。その関係もあり、大学に入学した時は弁護士になろうという考えはなく、自分の興味のある分野の研究をして、ゆくゆくは企業等に入社しその研究を活かせる仕事に就こうと考えていました。
しかし、大学2年生の時だったと思うのですが、履修した授業の中で、著作権の判例を読む機会がありました。その授業で判例を読んでいく中で、法律の考え方が理科系の発想と近しいものがあると感じ、法律に対して学問的な興味が沸きました。今になって振り返ってみると、そこが弁護士を目指す原点であったのかなと思います。
また、大学4年次に研究室に配属され、そこで企業の研究員の方と共同で研究をする機会がありました。そのような研究員の方々との話の中で、例えば自分が行う研究において何かを発明し、特許などの知的財産が問題となった時に、自分の専門的知識や考えがなかなか法律の世界では反映されないという話を聞きました。このような話を聞き、自分の理科系としての専門的知識や経験というものを他の分野でも活かすことが出来るのかなと思いました。
このような体験及び先ほどお伝えしたようにもともと法律に学問的興味があり、他方で、ちょうど私が大学を卒業する年にロースクールが起ち上がるといったタイミングも重なり、自分の経験を生かして色々な可能性にチャレンジ出来る弁護士になろうと思うに至りました。
学生時代
ロースクールに入るまでは判例を授業で読んだことはあったにせよ、法律に関する専門的知識はゼロと言っても過言ではありませんでした。法律と理科系の発想は似ていると思っても、実際に学ぶことは全く違うので、入学当初は両者の違いにかなり圧倒されました。
そこで、入学後しばらくの間は、実際に理科系の分野と法律の分野の違いを踏まえた上で、勉強方法をどのようにしたらよいのかについて取り組みました。その後、実際にロースクールで1年2年と過ごし、法律の考えや発想にも慣れ、最終的には司法試験に合格しました。
司法試験に合格するにあたり重要だったことは、自主的に仲間とゼミを組み、過去の問題集について、あるいは日ごろ疑問に思っていることをぶつけて討論をすることだと思います。というのも、ゼミを行いその中で人に説明することを通して、改めて自分の中で理解が深まり、違う視点を得ることも出来るからです。
仕事で嬉しかったこと
直接依頼者と接することが弁護士としては当然必要になってきます。そういった依頼者の方から感謝の言葉をかけられる時は非常にやりがいを感じます。
また依頼者、それぞれの事件ごとに重要なポイントがいくつか存在するものなのですが、それらのポイントにおいて、自分なりの切り口で主張・立証を尽くした結果、裁判所に、こちらの主張に即して事実を認定してもらえた時は、弁護士としての醍醐味のようなものを感じ、嬉しいですね。
大変だと感じること
弁護士が扱う事件は生の事件であり、すべてが真剣勝負なので、どれも大変なのですが、個々具体的な事件というよりは、総じて大変だと感じることは、依頼者が何を考えてどういう気持ちなのか、また事件に至るまでにどういう事実を経験されたのか、といった部分を正確且つ漏れなくしっかりと聞くということが大変だと思いますね。
ささいな事実だと一見思われるものも法的な視点から見ると非常に重要なこともあります。また、仮に紛争が解決したとしても、依頼者の気持ちをないがしろにした形で解決をしていては、それは真の解決ではないと思います。そういった問題が生じないようにするためには、しっかりと聞くことが重要だと思います。
仕事をする上で意識していること
漏れなく聞くということとリンクしてくるのですが、物事に対して1つの視点で捉えるというのではなく、多面的な視点で事象を捉えていくということを意識しています。
例えば、自分が原告側であれば敢えて被告側に立って考えてみたり、その逆に被告側であれば原告側に立って考えてみたりします。
そういった形で視点を切り替えることにより、見えてくるものがいっぱいあります。そういった多面的な視点を持って事件にあたれば先ほどの漏れなく且つ正確に聞くということにも資すると思います。
特に関心のある分野
私には理科系出身の弁護士という特徴があると思います。理科系出身というバックグラウンドが反映出来る分野に興味を持っています。それが一番発揮出来るのは知的財産の分野だと思います。
また、弁護士になるきっかけが研究者の方の意見や考えを法律の世界に反映させたいということだったので、将来的には理科系のフィールドと法律のフィールドを繋ぐ架け橋になるような仕事に携わることが出来れば幸せだと思います。