花澤 俊之 弁護士 インタビュー
弁護士を目指したきっかけ
子供の頃昆虫採集をしていた裏山で、私が高校時代、不必要な高速道路工事によって木が切り倒されました。それを見て、国に対する強い怒りを感じ、いつかこの工事を止められるような職業に就きたいと思いました。残念ながら、その高速道路は今完成間近ですが。
印象に残っている案件(事件)
やはり環境事件でしょうか。
弁護士になって最初の事件は、石垣島の空港設置許可の取り消しに対する訴訟でした。今も国は、それまでの空港を生かそうとせず、新しい空港を作ろうとし、無駄に野山を切り開いています。この事件は、近々判決がなされる予定です。
他に、京急三崎口駅の近くにある湿地を京急電鉄が工事残土によって埋め立てられるのを止めるための訴訟でも、自然が破壊されることへの悔しさを強く感じさせられました。この湿地は絶滅危惧種が約100種生息する神奈川県最大規模の低地性湿地で、3種類のホタルが生息していましたが、結局埋め立てられてしまいました。
仕事のなかで嬉しかったこと
環境事件はなかなか勝つことが難しく、悔しい思いをすることが多いですから、今のところ嬉しいと感じるのは刑事事件の方でしょうか。有罪になった依頼者から「量刑には納得している。先生が弁護人でよかった」と、御礼の手紙をもらったことがあり、素直にうれしかったですね。
今は、否認事件の裁判員裁判案件も扱っていますが、被告人の期待に応え、ぜひとも無罪を勝ち取りたいです。
弁護士になって大変だと感じること
仕事をあまり大変だとは感じませんが、強いてあげれば裁判官を納得させることでしょうか。環境行政事件や刑事事件は対国家の仕事です。今回の原発問題からも明らかなように、裁判官はどうしても職業柄国の肩を持ってしまいがちですので、なかなか難しいですね。
休日の過ごし方
基本的に土日も事務所に行っています。たまの休みは、息子の顔を眺めています。ただ、平日も体調管理のために、時間を見つけて泳ぐようにしています。
弁護士としての信条・ポリシー
どうせ勝てないだろうというように思ってしまいがちな事件であっても、最後まで諦めずに、依頼者の思いを実現させるよう努力し続けるということでしょうか。
依頼者に対して気をつけていること
依頼者様との信頼関係を作ることです。依頼者様の要望は人や事件によって異なります。打ち合わせや報告等を通じて、依頼者様のご要望を理解し、それに応えるよう努力していくことですね。
関心のある分野
弁護士の仕事というのは、何も事件を扱うだけではなく、会務という弁護士会の仕事もあります。私は、福島県出身で、かつ環境委員会の委員(第二東京弁護士会)なので、①現在の原発問題をどうするか、②今後の日本のエネルギー政策をどうするか、③放射能と食の問題をどう考えるかなど原発の問題に、非常に関心があります。
あとは、他の人があまりやらないような専門事件の分野を早く作りたいですね。
今後の弁護士業界の動向
正直わかりません。ただ、人数が増えれば、弁護士自治(強制加入団体)は崩壊に向かうと思います。そのせいで、弁護士が国家と闘う後ろ盾を失ってしまうのであれば、今の増員政策は、弁護士が自分で自分の首を絞めていることになりかねません。
かつての弁護士は、損得勘定を抜きにして、一貫した自分の信念に基づいて行動する名物弁護士がいた(今もいる)といわれます。今後はそういう弁護士はどうなってしまうのでしょうか。