松本 賢人 弁護士 インタビュー
弁護士を目指したきっかけ
一言で言えば、弁護士以外に向いている仕事がなかったからだと思います。私が大学4年生の頃は、バブル景気が終わり、就職状況が売り手市場から買い手市場に転換するくらいの時期だったのですが、他の学生時代の友人が就職活動に精を出す姿を横目に見つつ、将来の自分の姿を思い描いたときに、漠然と自由業への憧れみたいなものはありました。
しかし、残念ながら、私には、音楽やスポーツでの特殊な才能は全く無かったし、起業も考えたこともありましたが、目から鼻に抜ける器用さが無く、資金もありませんので起業はできないと思いました。
そうしてみたときに、自分は職人タイプだなあと思って、それであればいっそ司法試験に挑戦してみようと思ったわけです。今から考えると無謀な試みだった気もしますが、といって、他の仕事が合うかといえば、どれも合いそうに無いので、これしか生きる道がなかったように思います。受かったのは本当に僥倖だったと思います。
印象に残っている案件(事件)
どれも印象に残っていますが、「特に」というなら、2つあります。まず1つは、弁護士になって初めて担当した税務訴訟の案件です。自社建物の敷地を別の同属会社に譲渡したことで租税回避だと言われて否認されてしまった案件でした。
今でこそ雰囲気も変わってきましたが、当時は税務訴訟=敗訴というイメージでしたから、本当に勝てるのか不安になったりもしましたが、精一杯取り組みましたところ、結果としては不服審判所の裁決で7割くらい返ってきたので、大変嬉しくやりがいを感じました。
もう1つは、当事務所が都道府県側から依頼を受けた税務訴訟で、私が主任代理人をつとめている案件です。くわしい内容は判例時報などにも載っていますが(判例時報平成22年6月21日号(No.2074)判例時報社32頁以下)、法定外税の適法性が問題となっています。1審では負けてしまいましたが、控訴審では逆転できたので、大変印象に残っています。
仕事の中で嬉しかったこと
依頼者に感謝されることはもちろんですが、難しい案件を上手に処理できたときは嬉しいです。弁護士になってみると分かると思うのですが、弁護士の仕事も多くの案件は、解決の道筋が見えていまして、無難に解決することができるものです。しかし、前例のないものや微妙なものも、もちろんありますから、そういう案件をうまく処理できて、依頼者にも喜んでいただければ大変嬉しいですね。
弁護士になって大変だと感じること
弁護士として「毎日生き続けていく」ことが大変です。弁護士は遺産相続やM&Aなどに限らず、職業柄大きなお金や社会的影響のある事件を扱ったりします。そのためかどうか分かりませんが、やってしまってはいけないことに踏み込んでしまう人も多いです。こういった、誘惑に打ち勝って、しかも弁護士増員のこの時代に堅実に仕事できるかどうか、これが難しいと私は思っています。
休日の過ごし方
休日があれば、家族サービスをしています。妻と旅行に行ったり、食事に行ったりと気分転換をしています。
弁護士としての信条・ポリシー
依頼者の利益を図るのが第一ですが、当たり前のことですが、手を抜かずに仕事をすることだと思います。そのために、可能な限り、徹底して考え抜き、調べるようにしています。自分のベストを尽くさないと、微妙な案件では、満足な結果が出ないことがあります。
依頼者に対して気をつけていること
良質な弁護士業務の提供をすることは当然として、加えて言うなら、失礼の無いようにしなければならないと思っています。依頼者になろうとする方から、弁護士は敷居が高い、気軽に相談できない、ということが大変多く指摘されます。そこで、私は依頼者に敬意を持って接するようにしています。
関心のある分野
一つは、今の事務所でやってきた税務訴訟という分野です。また、弁理士登録もしているので知財にも興味があります。それと最近では、遺産分割にも関心があります。遺産分割の場合難解な事件も多く、そういう事件で落とし所を探していくのはとても興味深いです。
今後の弁護士業界の動向
難しい質問ですね(笑)。ですがまず言えるのは、何もしてないけど顧問料が入るといった、裏づけのない報酬形態というかビジネスモデルはだんだん無くなってくるのではないかと予想しています。
また、一口に法律事務所といっても、大病院のような総合法律事務所もあれば、町のお医者さんのような法律事務所もあったり、専門分野に精通した法律事務所が出てきているという状況ですが、だんだん裁判以外のサービスへも進出していくのではないかと予想しています。より顧客ニーズにマッチした業務を開拓していく事務所が必要だと思っています。
ページを見ている方へのメッセージ
弁護士というと、敷居が高いというイメージをやはり持っている方が多いと思います。私たち弁護士自身の努力不足でもありますが、決してそんなことは無いので、ぜひなんでも相談してもらいたいですし、税務以外のことでもどしどし相談に来ていただければ、分野だけでなく、幅広く勉強していますので、なんらかの有益なアドバイスをできるかと思います。どうぞお気軽にご相談ください。
弁護士報酬が高いというご指摘も受けますので、一言だけ。私の見るところ、高い先生も確かにいますが、近年では、大多数の先生が適正な価額で受任していると思います。必要以上に不安にならず、まずは気軽にご相談されることをお勧めします。