「依頼者の喜ぶ姿をやりがいに」裁判官としての長年の実務経験を活かし、依頼者に寄り添う
裁判官から弁護士へ転身
ーー先生は長年裁判官を勤めて56歳で退官し、第二のキャリアとして弁護士になったと伺いました。裁判官としてどのような経験をされたか教えてください。
裁判官時代は、民事・刑事を問わずさまざまな分野に関わりました。地方裁判所や簡易裁判所はもちろん、家庭裁判所での調停も経験しています。裁判官は転勤が必須なので、全国各地の事件を担当しました。
裁判官としてのやりがいは、紛争解決への道を自分の手で示せることです。裁判での解決には判決と和解という大きく二つの方法がありますが、私は和解を意欲的に勧めるタイプでした。和解を成立させるには両当事者の合意が必要です。お互いに歩み寄りながらも当事者がそれぞれにメリットを感じられるような和解案を提案し、どちらの当事者にも喜ばれることにやりがいを感じていました。
ーー弁護士となった今、裁判官の経験が仕事に活かされている部分はありますか?
裁判官として様々な分野の事件を多数扱ってきたので、弁護士として相談を受けた際に、解決までの道筋をある程度把握することができる点は、裁判官の経験が活かされていると思います。
裁判官だった頃は、弁護士が法的に根拠の薄い主張や、証拠が不十分な主張をする様子を見て、なぜ判決で認められる可能性の低い主張をするのだろうと疑問に思っていました。しかし、実際に弁護士になってみると、法的に根拠が薄かったり、証拠が不十分だったりしても、当事者の利益を図るためにあらゆる可能性に賭けて主張していかなければならない場面もあると実感するようになりました。
裁判官として事件を俯瞰的に見る目と、弁護士として当事者の利益を追求する姿勢の両方をバランスよく実現していきたいと思います。
建築瑕疵をはじめ不動産関係のトラブルに注力
ーー現在の注力分野を教えてください。
現在は不動産・建築関係に注力しています。
中でも多い相談は、建築の「瑕疵(かし)」に関する事件です。家を新築したり、中古住宅を買ったりしたあとに、建物に不具合や欠陥が見つかって相談に来る方が多いです。また、土地の境界争いもあります。これらの不動産・建築関係の事件は、裁判官時代に数多く手がけていました。弁護士としても注力していきたいと思っています。
ーー仕事をする上で心がけていることは何ですか。
当たり前のことではありますが、依頼者の話をきちんと聞くことです。同じような相談であっても、1つの事実を聞いて周辺事情をこちらが勝手に推測するのではなく、依頼者から話してもらうようにしています。
また、依頼者が事件には関係ないとか不利になると思っていることであっても、解決の糸口に繋がることがあります。依頼者に質問を重ねながら事件の全体像や解決策を探るのは、弁護士ならではの仕事であり、大切にしているところです。
また、「誠実さ」も大事にしています。依頼者と信頼関係を築く上での基本となるからです。依頼者が抱えている問題に対して正面から取り組み、依頼者の利益を実現するための方策を真剣に考えることです。場合によっては、依頼者の利益を実現するために、依頼者自身を説得しなければならないこともあります。そのような場面で依頼者と対立せず、同じ方向を向いて前に進むためにも、誠実な対応をすることは常に心がけています。
ーー弁護士としてやりがいを感じるのは、どんなときでしょうか。
無事に良い解決ができて依頼者の喜ぶ姿を見ることができたときや、感謝の言葉をもらったときです。大変なことは多いのですが、依頼者に喜んでほしくて弁護士を続けているのかもしれません。
同じような事件でも、関わる人によって望む解決や喜びを感じる部分は異なります。「この方はここで喜びを感じるのか」などと常に発見があります。これは、裁判官とは異なり、生身の人間に直接関わる弁護士だからこそ、感じることかもしれません。
困りごとがあったら躊躇なく早めに弁護士の元へ
ーー趣味や休日の過ごし方を教えてください。
裁判官時代は、休日に裁判の判決を書く時間を充てていたため、休みはほとんどありませんでした。弁護士になって、ようやく土日に休めるようになりました。
趣味はゴルフです。裁判官として地方に赴任したときにゴルフを始めて、趣味になりました。このほか、カラオケに行くのも大好きです。1人でカラオケに行くこともありますが、結構楽しめるものです。声を出すとストレスの発散にもなり、今や欠かせない趣味のひとつです。
あとは健康維持も兼ねて散歩もよくしています。自宅から歩いていける距離に海があり、足を伸ばすことがよくあります。また、博物館や美術館も好きで、散歩のついでにまわることもあります。
ーー今後の展望を教えてください。
不動産分野には変わらず注力していきたいです。不動産分野に強い弁護士がおり、複数で対応することもあります。他の弁護士に助けられることもありますし、私も可能な限り力になりたいと思っています。
ーー最後に法律トラブルを抱えて悩んでいる方へメッセージをお願いします。
トラブルを抱えたら、躊躇なく早めに弁護士に相談することが一番だと思います。ほとんどの悩みやトラブルは、自分ひとりでは解決できません。法律が絡む場合には専門知識が求められる分なおさらです。自分一人で対応しようとして、かえって解決を難しくさせてしまうこともあります。早めに相談していただくことがなにより大切です。