
樫尾わかな弁護士インタビュー
弁護士になろうと思ったきっかけを教えて下さい。
中学3年生のとき、女性弁護士が活躍するテレビドラマを観て、人の助けになる仕事は良いなと純粋に憧れました。その頃から、弁護士という仕事が自分の中の将来の選択肢と捉えるようになったのが大きなきっかけでした。
印象に残っている案件
弁護士登録をしてまもなく、弁護団として携わった「水戸事件」という事件は、特に印象に残っている事件の1つです。この事件は平成8年~9年頃に頻繁に報道されていた事件でした。
その内容は、水戸のとある有限会社において雇用され、会社の寮に住んでいた知的障害を持った従業員らに対して、社長が、長期間にわたり繰り返し、身体的、性的な虐待を行っていたという事件でした。
この民事裁判に、同期9人を含む、計12人の弁護団として取り組んでいきました。知的障害を持った方の供述の信用性をどう確保するかは難しい問題であり、特に性被害は専ら、被害者の供述のみが証拠になりうることから、立証も難儀しましたが、5年の月日をかけ、ほぼ全面勝訴を勝ち取ることができました。
一審判決を聞いたとき、法廷で原告(依頼者)と抱き合って喜びを分かち合ったときのことは今も心に残っています。弁護団事件として、依頼者からも支援の方々からも、共同受任した弁護士らからも学ぶところが大きく、特に印象に残っている事件です。
弁護士として嬉しい瞬間
依頼者が満足する結果が得られた時は嬉しいですね。悩みや問題を抱えていた依頼者の方にとって、正義に叶った解決が得られて、依頼者の方の助けになれたと感じられれば、私自身も嬉しく感じます。
難しいと感じること
依頼者の方とのコミュニケーションをとっていく段階での難しさはありますね。依頼者の方が何を求めているのか、どこを問題と思っているのかを的確に把握し理解したいと思い、そう努めているつもりですが、何分人と人との関係なものですから、信頼関係の構築に苦労することはしばしばあります。良かれと思って言ったことが、上手く伝わらないこともあります。
例えば、和解を進める場合も、弁護士としてはベストな解決に思われても、依頼者の方が納得することが一番重要なことですが、本当に理解し、納得しているかどうか、十分に確認をしなければ、トラブルの原因にもなりかねません。弁護士の方からいろいろな角度から問いかけをしてみて、ようやく、理解に至ることもあります。依頼者の方の希望を的確に把握し、理解するということは難しいですし、大変に感じるところです。
休日の過ごし方
平日は、打ち合わせや電話・メール対応に追われ、落ち着いて書面を書くまとまった時間を確保することが難しいので、休日に集中して起案(書面作成)の仕事をすることが多いです。
ただ、弁護士の仕事は途切れなく、絶えずやるべきことがあるという仕事なので、意識的にリフレッシュの時間をとらないと、自分の世界も狭まってしまうのではないかと思います。登録直後は余裕もなかったですが、最近は、旅行の予定を入れるなど、自分の時間や家族との時間もできるだけ確保するようにしています。
弁護士としての信条・ポリシー
依頼者の方に誠実に対応し、ベストを尽くすということです。
依頼者様に対して気をつけていること
先のコミュニケーションの話と重なりますが、依頼者の方の話を良く聞くということです。事実関係や、依頼者の方が求めているものを十分把握するためにも、よく話を聞くということが大事だと思います。
また、依頼者の方が理解できるようにできるだけ分かりやすく、メリット、デメリット、見通しなどを説明するよう心がけています。時間が限られている中では難しいところもありますが、説明の仕方も、言葉を省いたり、難しい言葉を使わないなどの注意が必要かと思います。
関心のある分野
いろいろありますが、子どもや障がいのある方に関する事件、少年・刑事事件、医療事故事件といった分野には、弁護士登録以来関わっています。
悩んでいる方へのメッセージ
弁護士というとまだまだ、敷居が高いと思っておられるかもしれませんが、もっと身近なホームドクターのような役割として、困っていることは気軽に相談ができる存在として見て頂けたらと思います。
また、私の経験として、個人の方でも会社の方でも、もっと早く相談してくれれば、アドバイスもできたし、こんな事態にはならなかったのにというケースが散見されます。ですから、お困りの際には、もっと早く、気軽に弁護士に相談して欲しいと思います。