
湊 信明 弁護士 インタビュー
弁護士を目指したきっかけ
中学生の頃、父が医療事故で亡くなったことがきっかけです。事故に遭って頭を強打し、救急車で運ばれましたが、医療事故で亡くなりました。当時は弁護士に相談するという方法を知らずに本当に悔しい思いをしました。その時にちょうど白い巨塔というドラマがあったのですが、それを観て弁護士を目指そうと思いました。
学生時代
大学時代は、刑法のゼミに入っていました。そこでは法律は単なる序列じゃなく、きちんと体系があり理論により成り立っているということを学びました。しかし、ゼミよりもサークルの方に一生懸命でしたね。アウトドアのサークルを立ち上げ活動していました。
受験時代に苦労した話や、勉強をする中で工夫したこと
大学卒業後は、様々なアルバイトをしながら生活をしていました。勿論その間も勉強はしていましたが、本気でやり始めたのは実は30代になってからなんです。
アルバイトをしながらの生活も楽しく、なんとなくこの生活もいいなと感じていました。しかし、30代になってこのままではさすがに良くないなと思い、2年間集中して勉強をしました。
司法試験は本当に難しいです。1つ1つの知識は決して難しくないのですが、全体を理解するのが難しく、それを体得するまでに時間がかかると思います。どんなに辛くてもぶれない心を持つことが大切になってくると思います。卒業してからの6年間、人生について書かれてある本をたくさん読んだのですが、今振り返るとその頃に自分の心の柱になるものを身につけていた様に思います。
勉強だけでなく、自分の思いがぶれない様メンタル面を鍛えることも大切だと思います。
弁護士になりたての頃に苦労したこと
最初に入所した事務所は紹介してもらいました。弁護士1人、秘書1人の2人事務所でした。大きな事務所も紹介されていましたが、大きい事務所だと組織の中の歯車の1つに過ぎないと思い、小さな事務所に決めました。実際にそこの事務所では、全てを任されました。
やりがいはありましたが本当に初めてのことだらけで、最初は色んな人に相談をしながら、休みなく働きました。ボスはほとんど事務所にいなく、秘書も夕方5時には帰ってしまうので、業務以外の雑務も全ても自分でやっていました。
当時は本当に大変でしたが、だからこそ経験できたこともたくさんありますし、弁護士生活の中でとても貴重な時期です。
依頼者に対して気をつけていること
1つはスピードです。依頼者とお会いするまでのスピード、そして依頼されたことに対しての回答のスピードです。例えば相談に来て下さった依頼者が会社に戻った頃には、資料を送っておくなどスピード感を大切にしています。
2つ目は丁寧さです。ただ丁寧に対応するということではなくて、事件が解決して数ヶ月経ってから電話をしてアフターフォローをするなど、解決後も丁寧に対応する様にしています。
依頼者が相談にいらっしゃった時の応接にも気を付けています。ただ話を聞くだけでなく、正面から身を乗り出し傾聴することが大切。仮に間違ったことを言っていたとしても、頭ごなしに否定することはしません。
依頼者は何か痛みがあり相談に来ているので、そういう依頼者を受容して、持っておられる痛みに共感することが本当に大事なことだと思っています。
休日の過ごし方
運動をしています。スポーツクラブに行って、マシンで鍛えて、その後、10km程走り、1㎞プールで泳ぐなど、だいたい3時間くらい運動しています。
関心のある分野
事業再生です。不況の影響等、会社の経営が上手くいかなくなると破産に持っていきがちですが、大変であっても事業を再生させていきたいと私は思っています。会社の経営者は孤独で、いざとなると誰も会社のことは分からないですし、時に従業員は敵になってしまいます。そういう時に共に歩いていくことが弁護士のできることだと思います。
弁護士に最も求められると思う力
依頼者の悩みを傾聴し、受容し、そして共感することだと思います。法律知識の披瀝(ひれき)だけで、人の幸せを取り戻すことはできません。弁護士にとって大切なのは専門知識だけではなく、人としてどう接するかということだと思います。
今後の弁護士業界の動向
近年、弁護士が大幅に増員されて、就職難が社会問題化しています。そのことを捉えて弁護士の仕事がもうなくなってしまっていると言われたりしますが、それは大きな間違いです。
急激な増員の結果、受け入れ側が不足しているだけのことで、弁護士がやらなければならないことはまだまだ沢山あります。こういう時代にあって、弁護士が社会に主体的に出て行って社会が求めるニーズを捉えて、サービスの形に変えていくことが大事なんだと思っています。
ページを見ている方へのメッセージ
弁護士は大学時代からずっと勉強ばかりして、話下手で笑顔が苦手な人が結構多いんです(笑)。敷居が高いと思われがちですが、自分こそは敷居が低いと思っている弁護士が多いんですよ。もっと気軽に何でも相談して欲しいと思います。問題が深刻になる前にもう少し早い段階で相談に来て欲しいです。一緒に歩んでいける、信頼できる弁護士を見つけて欲しいと思います。