中村 克己 弁護士 インタビュー
弁護士を目指したきっかけ
大学中は特に弁護士を目指してはおらず、できるだけ早く社会に出てビジネスに関わり たいと思っていました。
そして航空会社に就職した後、当時の大蔵省に派遣されることになったのですが、派遣先の所管業務はいわゆるODA事業で、我が国の金融や財政の専門家の方々とともに、金融財政政策を担う発展途上国の人材を支援するといった業務を担当しました。
こうした経験を通じて、専門的な知識や経験によって社会や組織に貢献できることの素晴らしさを実感したことが、法律の専門職である弁護士を志すきっかけとなりました。
また、発展途上国の人々が目をキラキラと輝かせながら、我が国の財政金融制度等を学んでいたのを目の当たりにして、社会人になった自分としても、再び勉学する環境に身をおいてみたいと思ったことも弁護士を目指した理由の一つです。
印象に残っている事例
あるメーカーの依頼者に対して、長年にわたり執拗かつ悪質なクレームを上げていた消費者がいました。
この依頼者から、本件について相談をいただいたのですが、担当の方々と一緒に対応チームを立ち上げ、依頼者の経営陣にもきちんと理解いただいた上で、会社全体として毅然とした対応を取ることで、この消費者からの不当クレームを完全にシャットアウトすることができました。
本件では、長年対応窓口として苦労されていた担当の方に非常に喜んでいただけたことが印象に残っています。
会社勤めの経験を生かせていること・法務部と弁護士事務所の違い
会社では法務部も経験しており、その際には依頼者の立場でしたので、依頼者が本当は何を望んでいるのかという点を推し測ることに生かせていると思います。また、ビジネスのやり方、社内の意思決定に対するイメージや現場感をもって仕事ができていることも会社務めをしていて良かった点だと思っています。
法務部と弁護士事務所の違いということですが、業法など依頼者の事業や業界に直結する法的知識については、法務部の方が大きなアドバンテージを持っています。
しかし、訴訟という局面では、弁護士の専門性や経験が非常に重要になりますので、訴訟を含めたリーガルリスクを見据えた法的判断という部分では、第三者的な立場から専門性と経験に裏打ちされたアドバイスができる弁護士事務所に優位性がある、といった違いがあるように思います。
仕事の中で嬉しかったこと
依頼者が個人であれ会社であれ、弁護士という法律の専門家であるからこそ、依頼者が本当に困っているときや悩んでいるときにご相談いただけること、そうした件について依頼者と一緒になって問題解決を目指すことができること、そして、問題解決に至った際に共に喜びを分かち合えることが弁護士冥利に尽きることだと思っています。
弁護士としての信条・ポリシー
弁護士業はスピード感が求められる仕事ですので、クイックレスポンスを心がけています。依頼者には、大まかな見込みであっても早めに明示した上で対応することを心がけています。
もうひとつは、問題となっている紛争の裏にある様々な利害関係に配慮した上で解決案を提示する、すなわち、真の問題解決を図るためには、目の前の一つの紛争にただ勝てば良いというわけではないという点に気をつけるようにしています。
依頼者に対して気をつけていること
先に挙げたクイックレスポンスが一点。あとは「傾聴」です。依頼者が真に求めていることを把握するためには、まず十分に話を聞くことが重要です。
依頼者からきちんと話をお聞きした上で、こちらから質問すべきことを質問するという対応によって、依頼者の気持ちが整理され、本当に解決すべき問題を浮き彫りにすることができると思っています。
関心のある分野
大企業では、問題となる法分野ごとに弁護士事務所を複数使い分けるなど、リーガルリスク管理体制の整備が進んでいるように思いますが、中小企業では必ずしもそこまでの対応が可能というわけではありません。
そうした中小企業における多様なリーガルニーズにワンストップで応じられるようなリーガルサービスを提供することによって、まだまだ十分とは言えない中小企業のリーガルリスク管理体制の改善に貢献できればと考えています。
今後の弁護士業界の動向
基本的に厳しいと思います。今までのように弁護士資格を取ればそれだけで食べていけるといった時代ではなく、それぞれの弁護士がコアとなる専門性を持って仕事をする必要性があると感じています。また、弁護士以外の職業分野で弁護士が活躍することも生き残る一つの道として考えられると思います。
今後のビジョン
先にも挙げました中小企業に対するリーガルサービスに力を入れていきたいと考えています。他方、特定分野の専門性を深める必要があるからといって、自分の業務領域を過度に限定する必要はありませんので、企業法務以外取り扱わないというスタンスではなく、家事事件・相続事件といった一般民事事件も積極的に取り扱っていきたいと思っています。
自分のキャリア・ビジョンとしては、特定分野における深い専門性とあわせて、ある程度幅広い業務を取り扱えるような「T字型」のキャリア形成を図っていければと考えています。