成田 吉道 弁護士 インタビュー
弁護士を目指したきっかけ
きっかけ自体は単純なものです。中学3年生の時に、学校で級友と将来の話をしていた際に、弁護士になるの?と言われたのがきっかけです。それまで全く考えたこともなかったのですが、何故かその言葉を聞い時、自分に向いているのではと思いました。修習時代に、模擬裁判を見た検察官から検事にならないか、と熱心に誘っていただき一時迷ったことがありましたが、それを除けば、中学3年以来、一貫して弁護士志望でした。
印象に残っている案件(事件)
例えば、民法708条の不法原因給付に関する事案があります。これは、社会的正義に反するような目的のために支払った(不法原因給付)お金等については、その返還を求めることができないというものです。私が扱った事案は、住宅ローンを抱えていた依頼者が転職で収入が減り、やむなく借りたサラ金への支払いが重荷になっていたときに、バスの車内広告を見たのがきっかけでした。依頼者が、サラ金分だけの借り換えを相談に行ったところ、不動産の価値に目をつけた業者からは、住宅ローンを含めた借換えを熱心に勧められたのです。
結局、半年後にはもっと有利な条件で借り換えができるとの説明を信じて、その間のつなぎ融資として、その業者から住宅ローン分を含めて3000万円以上の金額を借り換えてしまいました。契約書には、「半年後の一括返済」との記載がありましたが、半年後の借り換えまでの仮の契約書なので心配いらないとの説明でした。しかし、その後、騙されたことに気づき相談に来られたのです。複数の業者が関与するなど手口は巧妙だったのですが、後輩弁護士とともにそれらの関係について徹底した調査をしました。
結局、裁判では、①業者が依頼者の従前の住宅ローン抹消のために3000万円以上の金額を貸し付けた行為は、実際には半年後の一括弁済など出来ないことを見越して遅延損害金等の形でより大きな利益を得ることを目的になされたものである。したがってその反社会性は顕著で、本件貸付は公序良俗に違反するもので無効である。②業者が支出したお金は、そのような目的の手段として使われたものであるから不法原因給付にあたり、業者がその返還を求めることはできない(つまり、依頼者には返済の必要はない)との判決が出ました。このような悪質な行為は許さないという裁判所の断固とした意思を感じました。
仕事の中で嬉しかったこと
依頼者から話を聞いて、これは真実だと思っても、こちらの証拠が圧倒的に少なくてそれを裁判の場で認めてもらうことが難しい事案というのがあります。さきほどの事案もその一つです。そのような事案について、一生懸命頑張って、本来あるべき姿で裁判官に判断してもらうことができて、依頼者に喜んでいただけたときはやはり嬉しいですね。
弁護士になって大変だと感じたこと
広く言えば、やはり責任の重さということだと思います。また、前に述べたことの裏返しですが、依頼者から話を聞いて、依頼者の述べていることが事実だと心証を持った場合であっても、相手が巧妙で、その真相を立証するのが難しい場合があります。
例えば、返済したお金を再度請求されるという事案がありました。お金を返済した当時、借用書はなくしたと言われ、そのままにしていたところ、その後両者の関係がこじれてから、その借用証書を証拠に、返済したはずのお金を請求されたのです。最終的には和解しましたが、真実を証明することの難しさを感じた一つの例ですね。
休日の過ごし方
仕事をしていることが多いですね。
弁護士としての信条・ポリシー
依頼者によっては、きちんと説明できる人もいれば、逆にそれが上手くできない人、自分に都合が悪いと思ったことは伏せてしまう人など、タイプは様々です。そうすると、弁護士と依頼者とで大事だと思っていることが微妙に違う場合があります。その認識の違いを埋めるためにも、いろいろな角度から質問をして、できるだけ事案の本質を的確に把握できるように心がけています。
以前、離婚の案件で、よく話を聞いてみると、修復できるのでは?と思い、相手方の弁護士さんにもその話をしながら進めたところ、結局お二人で話し合ってもう一度やり直すことになったということがありました。このように、当事者には一つの道しか見えていない場合があるので、事案の全体像を見て別の選択肢をアドバイスするのも弁護士の大事な役目だと考えています。
依頼者に対して気をつけていること
依頼者が置かれた状況の中での考えられる選択肢、よりベターな選択肢は何かをアドバイスするように心がけています。
関心のある分野
社会の変化のスピードが早いので、それに対応した分野については関心をもって勉強していかなければと思っています。
今後の弁護士業界の動向
法曹人口の急激な増加による影響については懸念しています。人権の守り手としての弁護士の役割は、健全な社会の発展にとっても重要なものだと思います、急激な人員増加が、法曹のモラルの低下を招くことになれば、司法に対する信頼が揺らぐことになります。
今後のビジョン
中国、韓国など近隣諸国との交流・接触はますます増えていきます。そのような国々の歴史や文化なども勉強していきたいです。
ページを見ている方へのメッセージ
病気と同じで、早期発見早期治療は大事です。もっと早く相談に来てくれれていれば選択肢もいろいろあったのに、と思うことも時々あります。弁護士の敷居は高いかもしれませんが、一人で悩まずに、依頼するかどうかは別にして、まずは法律相談をして正しい知識を得ていただきたいと思います。