松本 真輔 弁護士 インタビュー
弁護士を目指したきっかけ
私はもともと外交官になりたかったんですよ。大学2年生の終わり頃に外交官試験の勉強を始めて3年生の夏に受験しました。当時は試験制度が今と違っていて、3年生で試験に合格すれば大学を中退して外交官になれたのです。私が受験した年は、3年生が1次試験に私を含めて4人合格し、最終的には2人が外交官として採用されましたが、私はその2人には入りませんでした。
翌年外交官試験をもう一度受験するということも考えられたのですが、1次試験合格後に、外務省内を回っていろいろな方のお話を伺った際に、どうも想像していたのとは違うなと思ったことから、翌年もう一度受験しようという気持ちがなくなってしまいました。そうした時期に友人から一緒に司法試験の勉強をしないかと誘われ、成り行きで司法試験の勉強をすることになったというのがきっかけです。
ただ、後から考えれば、大学に入った当初は法律に全く興味が無かったのですが、外交官試験の試験科目である国際法を勉強しているうちにだんだん法律の面白さが分かってきつつあったことが友人の誘いに応じて司法試験の勉強を始めた背景にはあったと思います。
私はもともと国際政治、特に国家安全保障に関心があって外交官を目指したのですが、国際法を勉強する中で、国家間のパワーバランスで物事が決まっているかに見える国際政治の場においても各国の外交官が国際法を使って自分たちの主張を正当化していること、外交官には国際法という法律を使いこなす能力が求められることを知り、面白いなと思いました。
友人に司法試験の勉強に誘われたときも、弁護士として法律を使いこなせるようになれれば面白いのではないかと思ったのは事実です。
印象に残っている事案(事件)
最近の案件では、日興コーディアルグループ、米シティグループ及びシティグループ・ジャパン・ホールディングス間の三角株式交換案件です。これは日本初の三角株式交換案件でした。少数株主の利益がきちんと考慮されているか等をチェックするために、日興コーディアルグループが特別委員会を設置したのですが、私はその特別委員会の法務アドバイザーを務めました。
日本初の案件であり、様々な新しい問題について考える機会があったことや、特別委員会のいずれも一家言お持ちの委員の方々のご意見を取りまとめるのは結構大変で、やりがいのある仕事であったことから、とても印象に残っています。
仕事の中で嬉しかったこと
難しい案件が上手く行った時は嬉しいですね。依頼者に感謝して頂いた時はもちろん嬉しいのですが、それに加えて自分でも納得の行く結果が出せた時が一番嬉しいですね。
弁護士になって大変だと感じること
私の仕事はM&A案件が中心ですが、M&A取引の場合はとにかくスピードが求められます。瞬時に大変責任のある判断をすることが求められるので、大変プレッシャーがかかります。スケジュールも自分でコントロールすることが難しい面があります。そういう面では大変だと感じることがありますが、逆に言うとそれがやりがいにもつながっているのだと思います。
休日の過ごし方
波のある仕事なので、忙しい時には休日はありません。しかしぽっかりと時間が空くときもあります。そういう時は体力をつけるためにジムに行って汗を流したり、娘と遊んだりします。本も好きでよく読みますが、これは平日の食事の際や移動時間に気分転換として読むことが多いですね。
弁護士としての信条・ポリシー
常にベストを尽くすことです。何が一番依頼者の利益になるか常に考え、それを達成するために他により良い方法がないかを常に考えるようにしています。私共の事務所は“職人”という言葉を理念として掲げていますが、私はこのような姿勢を追及することが“職人”であると思っています。
関心のある分野
やはり自分が今専門としているM&Aの分野ですね。
今後の弁護士業界の動向
今後ますます競争が激しくなるのは間違いないと思います。また、日本の大手法律事務所の規模は東京という一つの都市だけでこれ以上拡大するのは限界にきているような気がします。
欧米の法律事務所はグローバルでは日本の大手法律事務所より規模が大きいところは沢山ありますが、いずれも複数の都市にオフィスを展開しており、一つの都市だけで500人を超えているところはそう多くはありません。
弁護士に対する需要が多い欧米でもそうなのですから、欧米ほど弁護士に対する需要が多いとは思えない東京では、500人でもう限界にきているのではないかと思います。
今後のビジョン
私は自分が今専門としている分野においても自分はまだまだ未熟であると考えていますので、取り敢えず今専門としている分野で今後も引き続きコツコツと研鑽を積んでいきたいと考えています。また、常により良いものを追及する姿勢は今後も貫きたいと思っています。