常に冷静な目を持ち、問題解決のために最適な方法を検討〜依頼者の目的達成のため力を尽くす
高校時代の授業をきっかけに法律に興味を持つ
ーー弁護士を目指したきっかけや理由を教えてください。
最初に法律に興味を持ったのは、高校生のときの倫理政経の授業でした。担当の先生が、有名な憲法判例を使って憲法についてわかりやすく説明してくださり、「法律ってすごく面白いな」と思ったんです。
もっと法律を勉強してみたくて、法学部に進学しました。
ーー大学に入学した当初から、司法試験を受験しようと考えていたのですか。
はい。私の学生時代はまだ雇用機会均等法がなく、男子学生と女子学生の就職状況が今とは全く違っていました。女子学生が一般企業に就職するのは非常に狭き門で、そういう社会の状況もあり、はなから企業に入る気はなく国家資格を取ろうと考えていました。
司法試験の勉強をする団体に入っていましたが、勉強ばかりしていたわけではなく、友達と遊んだりもしながらまったり過ごしていましたね。
法律を使う仕事の中では裁判官も面白そうだなと思ったのですが、組織に属さず自分の裁量で仕事ができることに惹かれて、最終的に弁護士を選びました。
法律家としての冷静な視点から、問題解決の方法を提示
ーーどのような案件を手がけていますか。
取り扱い分野を絞っていないので様々な相談が寄せられます。その中でも多いのは離婚や相続といった家族関係の案件です。
ーー仕事をする上で心がけていることを教えてください。
まずは、相談に来た方の話をできるだけ丁寧に聞くことです。その上で、何が問題点で、本人はどういう状況にあって、法律的にどのような対応ができるか、ということを客観的に伝えるようにしています。
今は、インターネットなどで情報を調べてから相談に来る方が非常に増えました。「ネットにこう書いてあったので、私の主張は認められますよね」とおっしゃる方も多いですが、調べた内容が不正確だったり、本人の状況には当てはまらなかったりすることが少なくありません。情報があふれすぎていて、的確な取捨選択が難しくなっているのだと思います。
「その情報は間違っています」「あなたのケースには当てはまりません」と伝えると、気落ちしてしまう方もいると思います。ただ、大切なことは、正確な知識を得てもらうこと。そして、今の状況でどのような対応ができるかを弁護士と一緒に考えていくことが問題解決の要です。
本人にとってはビターなアドバイスでも、問題解決に必要であることなら、しっかりと伝えなければならないと考えています。的確なアドバイスをするためにも、なるべく時間をかけて話を聞いて、その方が置かれた状況を詳しく把握するようにしています。
ーー仕事のやりがいを感じるのはどのようなときですか。
やはり事件が解決したときですね。本当に苦労してようやく合意に達したときや、長い間裁判で争い、最終的に勝訴判決を得られて当初の目的を達成できたときの嬉しさは、何にも変え難いです。
学生に法律の知識をわかりやすく伝える
ーー非常勤講師として大学や法科大学院で授業をされていると伺いました。
はい。学生に教えることは非常に面白いですね。
私が学生のときに教科書を読んでもよくわからなかったことをなるべくわかりやすく伝えたいと思って、工夫しながら授業しています。授業の準備をするたびに自分にとっての新たな気づきも得られて、楽しみながら取り組んでいます。
法学部ではない学生にも教えていて、これもまた楽しいです。経済学部や外国語学部の学生で、しかも1、2年生が多く、法律の知識はほとんどありません。そういう学生たちには、世界史の話から入って、現在施行されている法律の成り立ちを教えます。マグナカルタやローマ法大全といった高校の世界史の授業でちらっと聞いたような言葉について、法律的な視点から改めて説明しています。
歴史の話は最初の頃にして、今は民法を教えています。せっかく民法について学ぶのだから日常的に知っておいた方がいいことも伝えたいと思い、契約とはどういうことかという話や、成年年齢が18歳に引き下げられたことによる影響、連帯保証人の恐ろしさなど、いろいろなことを教えています。
ーー休日の過ごし方やご趣味を教えてください。
あまりアクティブに動き回るタイプではなく、家でゆったり過ごしています。最近は平日にやりきれなかった仕事をしていることもありますが、音楽を聴いたり、映画を観たりして気分転換しています。読書も好きです。
ーー法律に関する小説や映画で、面白い作品はありますか。
私が特に好きなのはヘンリー・フォンダ主演の『十二人の怒れる男』です。学生にも勧めています。アメリカの陪審制度に焦点を当てたストーリーで、陪審員の評議が部屋の中で繰り広げられる様子をただただ描いているのですが、登場人物の個性が際立っていて、何度見ても面白いです。
もう1つは、これも古い映画ですが、『アラバマ物語』も非常に良い作品です。
小説でお勧めなのは、加賀乙彦さんの『宣告』です。加賀さんは東京拘置所の医官をされていた方で、この小説はご自身の体験を元に書かれたそうです。修習生のときに読み、とても感銘を受けました。
弁護士に相談することで、悩みを客観的に見つめられるようになる
ーー今後の展望をお聞かせください。
悩みを抱えている依頼者に法律家の立場から冷静にアドバイスをして、目的を達成するための力になる。そんな仕事を続けていきたいです。
私は、弁護士と依頼者の関係は、ある程度クールなものだと思っています。もちろん、冷たく接していいというわけではありません。依頼者の立場になって、「こういうことに困っているのだろうな」「こういう状況に置かれたらどんな気持ちになるだろう」と、本人の状況に思いを馳せることはとても大切です。
それはそれとして、弁護士はやはり、法律事務を処理することが仕事です。依頼者の悩みや目的を聞いて、今の法制度の中でできる一番いい方法は何か?と考えるときには、ある程度の冷静さを保つ必要があると思います。問題解決のために的確なアドバイスを提示できるよう、常に冷静な目を持って仕事に取り組んでいきたいです。
ーー最後に、トラブルを抱えて悩んでいる方に向けてメッセージをお願いします。
弁護士に相談することは、自分の悩みを客観的に考えられるようにするための作業です。
法律トラブルを抱えている方の多くは、茫漠とした不安や疑問を抱えています。そうした不安を言語化できるようになることが、弁護士に相談するメリットの1つです。弁護士に相談することでまずはっきりするのが、「自分には法律上、どのような権利があるか」ということ。そして、「今、こういう権利が侵害されていて、権利を回復するためにどうすればいいのか」ということにも気づけます。
弁護士は魔法使いではないので、相談したらたちどころに悩みが消えるわけではありません。でも、相談することで、悩みを客観的に見つめられるようになります。自分が何に悩んでいるのか整理できると、その悩みを解決するための方法も見えてきます。
問題解決までの道筋を整理するための1つの手段として、ぜひ、弁護士を使っていただけたらと思います。