寺田 昌弘 弁護士 インタビュー
弁護士を目指した理由
高校時代、附属高のアメフト部で3年間スポーツに明け暮れましたので、大学に入ったら少し真面目に勉強しようと思い(親に学費を出してもらっていましたので)、司法試験への挑戦を決意しました。
法曹三者の中でなぜ弁護士だったかというと、まず裁判官は自分の柄ではないと思い、最初からあまり考えていませんでした。検察官には随分と誘っていただきまして、心が揺れたのですが、司法試験受験時代に先輩の影響でいわゆる「渉外弁護士」「国際弁護士」というものに憧れるようになっていまして、そのときに抱いた外国のロースクールに留学したいという夢を断ち切れず、最終的に弁護士になることを選択しました。そんなに立派な志があったわけではないのですよね。。(笑)
印象に残っている事例
どんな案件も、それこそ今すぐには思い出せないような案件であっても、どこかに個性や特徴があるもので、1つ1つの案件が自分を成長させてくれたと思っています。ただ、その中でも特に印象に残っているものといえば、やはり「いちごの乱」「アデランスの変」といった委任状争奪戦ですね(注:いずれも日経新聞の記者による命名)。
前者は、上場会社のM&Aが委任状争奪戦の結果、株主総会で否決された日本で最初の事例として、後者は、(株)アデランスホールディングスの株主総会で、やはり委任状争奪戦の結果、外資系投資ファンドによる株主提案が株主に受け入れられ経営陣が刷新された事例として、新聞等でも大きく取り上げられた案件です。
委任状争奪戦は、日本では「いちごの乱」の成功がきっかけで広く行われるようになったものですから、「いちごの乱」当時(07年2月)は前例も文献も殆んどなくて、本当に試行錯誤の中、手探りで実務を切り開いて行ったという実感があります。
「アデランスの変」の頃(09年5月)は少しだけ実例の集積がありましたが、依頼者(外資系の投資ファンド)から色々と難しい要望・提案がありまして、それに対処するのが大変でした。ちなみに、「アデランスの変」の関係で、「社長解任」という本を出しました。ここで宣伝させてください(笑)。▶︎社長解任 株主パワーの衝撃
仕事で嬉しかったこと
月並みですが、やはり依頼者から感謝されることですね。案件の大小に関係なく、また依頼者の望みを100%叶えてあげられたときもそうでないときも、全力で案件に取り組んでいれば、依頼者はちゃんと見てくれているものです。そういうときの感謝や労いの言葉は心に響きます。
また、「(ほかの弁護士さんではなく)寺田先生に引き受けて担当してもらえて良かった」とか、「他の弁護士さんが『それは無理ですよ』と言うようなことでも、寺田先生は簡単に諦めず何とかしようとしてくれる」という趣旨のことを言っていただけたときは、とても嬉しかったです。同じ分野で活躍されている弁護士さんは沢山いますが、自分はまさに「そういう弁護士」でありたいと願っています。
大変だと感じること
実力を維持・向上させるための研鑽と、自らの時間管理ですね。
私が仕事でよく取り扱う法律は会社法と金融商品取引法ですが、これらは旧法(商法/証券取引法)の頃から頻繁に改正があり、実務も常に新しくなっています。新しい判例や論文にも目を通して理解を深めていかなければなりません。ところが、日々の仕事に追われてなかなか時間を割けませんから、こうしたものを追いかけていくだけでも大変です。
弁護士としての信条
①常に全力を尽くす。②簡単に諦めず柔軟に対応する。②は、その分野の弁護士の多くが思いつくような法律構成では法的に難しい、ダメかなと思えることでも、それしかないと決めつけないで、別の法律構成・別の可能性を模索するということです。
あとは、③良い意味で依頼者の期待を裏切ること。これは、依頼者の真意を汲んで、依頼者が想定しているレベルより良いプロダクツ(成果物)を提供するとか、依頼者が想定しているタイミングより早く(もちろん質は下げずに)プロダクツを提供するとか、そういうことです。
依頼者に後から「この弁護士に頼んで良かった」と思っていただけるサービスは何だろう?ということを常に考えるようにしています。
依頼者に対して心がけていること
①依頼者が望んでいることは何なのかを正確に理解し把握することです。これなくして、先ほど話した別の法律構成の模索はできませんし、依頼者の期待を良い方向に裏切ることもできません。依頼者の話をしっかりと聞き(ときには突ついて聞き出して)、理解して、要するにこの依頼の最終的なゴールは何かといったことを把握するようにしています。
それと、②きちんと説明することです。依頼者の意向が正しく把握できたとしても、それを実現するにはこういう法律構成がある、それにはこういう問題点がある、こういうリスクがある・・・ということを事前にしっかり説明しておかないと、依頼者が望んだ結果にならなかった場合は特にそうですが、結果への納得感が得られません。
悩みを抱える方へのメッセージ
弁護士をもっと身近なものだと思ってほしいです。ただ、これにはむしろ我々の側の努力と工夫が必要なのでしょうね・・・。
イメージとしては、お医者さんと同じような感覚で(いい意味で気軽に)弁護士に相談していただけるようになればと思っています。