熊谷 真喜 弁護士 インタビュー(2010年9月実施)
弁護士を目指したきっかけ
進路選択の幅が広そうだと考えて法学部に入ったのですが、先輩や同級生に司法試験を目指す人間が多く、法曹界もいいなと思うようになりました。私は女性ということもあって、仕事をしていく上で、やはり資格が必要だなと考えるようになり、自分にできることを探した結果、弁護士という職業を希望するようになりました。自営志向が強かったので、なるならば裁判官や検察官ではなく弁護士、ということは当初より思っていました。
印象に残っている案件(事件)
私は、企業法務を中心に扱っているのですが、ある上場会社を代理して委任状合戦に必要な株主名簿の閲覧謄写を求めた、株式名簿閲覧謄写仮処分命令申立却下決定に対する抗告事件(東京高等裁判所平成20年(ラ)第844)が印象深かったです。
この事件では、東京地裁では申し立てが認められず、却下決定が出されたのですが、抗告した東京高等裁判所では、私たちの主張が認められました。
東京地裁では、同じ部に係属している類似事件で却下決定が出されていたので、負けるかもしれないと考えていましたが、今後の実務のためにも負けてはいけない事件だったので、高等裁判所で逆転勝訴が出た時には、本当に嬉しかったです。難しい裁判で勝つというのは、この仕事の醍醐味といえるでしょう。
仕事の中で嬉しかったこと
M&Aの案件が無事にクローズしたときと、裁判で勝ったときです。先にも述べましたように、私は、企業同士の資本提携や事業提携、株式の譲渡など、M&Aの案件を多く取り扱っています。こういった案件では、クライアントのほか、フィナンシャル・アドバイザーの証券会社や会計事務所と協力して、チームワークよく案件をすすめることが求められます。多数の利害をうまく調整して、ウィンウィンの結果に結びつけるのが仕事です。
他方、裁判は弁護士が主役であり、勝ち負けがはっきりするので、弁護士の実力が試されます。ですから、裁判で勝訴判決を勝ち取ったときには、この上なく嬉しいですし、スカッとします。性質の違う仕事ですが、どちらも結果を出せた時は、嬉しいですね。
弁護士になって大変だと感じること
企業法務の世界は、近年特に、法改正のスピードが速く、新しい裁判例もどんどん出てきます。そういった変化を常にキャッチアップして、最新の情報に触れていないといけません。大変ではありますが、怠ることはできないので、日々勉強させてもらっています。
休日の過ごし方
旅行が好きなので、休みが取れたときには旅行にいきます。また、一眼レフを始めたので、都会では見られない景色を撮影することにも凝っています。
弁護士としての信条・ポリシー
クライアントのためにベストを尽くすということです。逆にこれができなくなったら、この仕事はできないと考えています。例えば、推理小説家の仕事とは、きちんと伏線を張って、いかに面白い小説を書くかだと思います。
そうであるならば、弁護士の仕事とは、クライアントの利益を図ることです。裁判官なら公正な裁判をすることでしょうし、検察官なら社会正義でしょう。私は、弁護士なので、クライアントの利益を一番に考えて日々の仕事をしています。
依頼者に対して気をつけていること
クライアントのニーズを正確に把握するということです。やりたいことはあるけど、法律的にはどういう方法があるのかわからない、というクライアントもいるわけですから、自己満足にならないよう、色々と選択肢を提案していくことを心がけています。
そのためには、クライアントの置かれている状況を、客観的に理解していくことが大切になります。
関心のある分野
中国企業による日本企業の買収が気になります。幸運にも一件この種の案件(山東如意集団による株式会社レナウンへの資本参加)に携わることができたのですが、今後こういった事件は増えていくと思いますので、注目していますね。
中国に事務所を開設している法律事務所もあるくらいですし、中国企業の動向は、この業界の人間なら誰しもが関心を持っていることでしょう。
今後の弁護士業界の動向
弁護士の専門分化は進むでしょう。クライアント層が細分化し、それに応じて、弁護士側も専門化が進むのではないかと考えています。そして、それをクライアントが選別していくという図式になるでしょう。
昔は大手の百貨店に行けば何でもそろっていて、売り手の提示する選択肢に消費者が応じるという形でしたが、今では、消費者はみな、自分で欲しいものをネットで検索して、お店を自分で選んで買いに行きますよね。それと同じで、弁護士業界も、いわばサービスの消費者であるクライアントが弁護士を選別する時代になると考えています。
ページを見ている方へのメッセージ
このページを見ている方に直接お会いすることがあるか分かりませんが、もしどこかでお会いすることがあれば、クライアントのためにベストを尽くしますので、是非私に何でも仰って下さい。
(2010年9月インタビュー実施)