亀井 洋一 弁護士 インタビュー
弁護士を目指した理由
私は以前、経営破たんした北海道拓殖銀行という銀行に勤務し、リーガルを担当していました。北海道拓殖銀行は全くコンプライアンスを無視した経営が行われていて、その結果破たんしたと言ってもよいと思います。
このような事情があり、弁護士として、事前に関与することで、会社経営の適法性を少しでも確保できるようにすれば、結果として経営破たんを回避したり、会社の関係者に損害を及ぼすことを、いくらかでも防げるのではないかと思ったことがきっかけです。
印象に残った事例
アルツハイマー病で意思能力に問題のあったおじいさんがお嫁さんに財産をあげてしまって、後になってからお嫁さんと他の兄弟が争った事件が印象に残っています。多額の預金や株券がお嫁さんの名義に書き換えられていた事実が後になって発覚したのですが、それが本人の意思に基づくものなのかどうかということが争われました。
争いになった時点ではその方は完全に意思能力がなくなっていて、途中で亡くなってしまいました。そのため、いろいろと証人を探し出して、過去の事実から意思能力の有無を探求することになり、事実認定の非常に難しい事件でした。ちなみに一審では実質的に敗訴したのですが、控訴審でひっくり返し、最終的に全面勝訴しました。この点からも印象に残っている事件ですね。
仕事で嬉しかったこと
判例評釈を雑誌に掲載していただくことがよくあるのですが、高裁の判例について評釈を書いたところ、最高裁でそれと同じ判断が示され、その判例解説に私の書いた評釈が学説として紹介されて、最高裁はこの見解に立っていると書いてもらえたことがありました。最高裁の判断と一致したのはたまたまで、私の評釈が影響したわけではないでしょうが、その時は嬉しかったですね。
大変だと感じること
依頼者の要求する内容と、法的に認められる権利等にギャップがあることがあります。そこをどういう風に説明し、依頼者に納得してもらうかが難しいですね。
休日の過ごし方
休日はあまりないのですが、平日でもできるだけ時間を見つけて、私の所属する事務所の近くには美術館が多くあるので絵の展覧会を見に行ったり、音楽のコンサートを聴きに行ったりしています。また、事務所の音楽部に所属して、練習したり、一緒にコンサートに行ったりしています。
空いている日があると箱根や伊豆の美術館等にドライブに行ったりもしますが、一日寝ていることも多いですね。
弁護士としての信条
後になってから後悔しないようにすることを心掛けています。これをやっておけばよかったと後から考えないように、できることをやれるだけやるという方針で仕事をしています。
依頼者に対して心がけていること
できるだけ正確に見通しや情報を伝えることに気をつけています。依頼者の方は法律については素人の方が多いので、弁護士から見て当然ということであっても、全く違う解釈をされることがよくあります。そこをできるだけ認識を共有するように努めています。
悩みを抱える方へのメッセージ
会社でも個人でも、相談を受けたり事件を依頼された場合に、ちょっとしたボタンの掛け違いのようなことが契機で紛争になっていて、弁護士が最初から関与していたら違う結果になっていたのでは、と思うことがあります。
もっと、トラブルが発生しないように予防的な点で弁護士を活用していただければと思います。
(インタビュー実施・2011年5月)